以平いたらたらき)” の例文
この馬子はもと郵便脚夫で、大樹から以平いたらたらきまで四里半ばかり、その間に人家が一軒もないところを往來してゐたが、不意の大雪に會つて凍傷を起し、兩足を切斷されたのである。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
「まはつて見給へ。有馬君は餘り出たことがない樣ぢやが、北海道を知るには、十勝原野を見なければならん。それも秋がよい。四方八方の紅葉した以平いたらたらき高原の如きは、天下無雙ぢやから、な。」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
以平いたらたらきで馬を換へた時、ついて來る馬子もなくなつた。そして、三里半、また人家もない檞とすすきとの高原を進まなければならない。義雄は非常に飽きが來た。自分の神經までが單調子になつた。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)