仁田にった)” の例文
大粒の霧を横なぐりに叩き付ける強い西風に吹かれながら、丈の高い偃松を押分けて、大尾根から南にはずれているガッチ河内の岳(地図の仁田にった岳)に往復する。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
甲州街道の黒野田・北多摩郡の大岱おんたなどの類は数多く、怒田という字を宛ててもいるから、ヌタというのが普通だったらしいが上州の下仁田しもにただの伊豆の仁田にった四郎だのと
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
仁田にったの住人四郎忠常、南条の小次郎、天野遠景とおかげ佐奈田さなだの余一といったような近郷の若人輩わこうどばらであった。およそ十四、五名もいるだろうか、芒よりも低く、車座になって、声をひそめ合っているのだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊豆の仁田にったの手無仏というのも石地蔵であって、毎晩鬼女に化けて通行の者をおどしているうちに、ある時強い若侍に出あって、手を斬られて林の中へ逃げ込みました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
土肥どひ殿や仁田にった殿が見えたのではないか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)