乱次しどけ)” の例文
旧字:亂次
秋草を銀で刺繍ぬいとりして、ちらちらと黄金きんの露を置いた、薄いお太鼓をがっくりとゆるくして、うすものの裾を敷いて、乱次しどけなさったら無い風で、美しい足袋跣足たびはだしで、そのままスッと、あの別荘の縁を下りて
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そばへ寄って見ると、案の定、跣足はだしで居る、実に乱次しどけない風で、長襦袢ながじゅばん扱帯しごきをしめたッきり、鼠色の上着を合せて、兵庫という髪が判然はっきり見えた、それもばさばさして今寝床から出たという姿だから
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)