丸切まるきり)” の例文
父は、丸切まるきりり相手にしようとはしなかつた。相手は、父にさう云はれると、恐縮したやうに、頭をかきながら
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
他の話に拠って建立された丸切まるきりの作り物と思わぬが、もし仏徒が基づく所あって多少附会した所もあろうといえば、その基づく所は釈尊の従弟で、天眼第一たりし阿那律あなりつ尊者の伝だろう。
夫人は、半ば冗談のやうに、云はうとしたが、信一郎の心の中の敵意を、アリ/\と感じたと見え、先刻までの夫人とは、丸切まるきり違つたやうな鋭さが、その美しさの裏に、潜み初めてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)