中江兆民なかえちょうみん)” の例文
俵的のいない人生なぞは考えてみたこともない。私の部屋にはN氏が俵士の出生祝いに持ってきてくれた中江兆民なかえちょうみんの書がかかっている。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
角藤に芝居を勧めたのは中江兆民なかえちょうみん居士である。居士はその当時、かの保安条例で東京をわれて、しばらく大阪に住んでいた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
同じ月に中江兆民なかえちょうみんが静岡を過ぎて保をうた。兆民は前年の暮に保安条例にって東京をわれ、大阪東雲しののめ新聞社の聘に応じて西下する途次、静岡には来たのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
このまま死すも残り惜しき事なし、かくまで諸氏の厚遇に預かり、市民に款待かんたいせられんことは、思い設けぬ所なりしといいつつも、故中江兆民なかえちょうみん先生、栗原亮一くりはらりょういち氏らの厚遇を受け給いぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)