喧しく云えば船を動かして、川をのぼったりくだったり、川上かわかみの天神橋、天満橋てんまばしから、ズットしも玉江橋たまえばし辺まで、上下かみしもげてまわっやったことがある。その男は中村恭安なかむらきょうあんと云う讃岐の金比羅こんぴらの医者であった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)