与右衛門よえもん)” の例文
旧字:與右衞門
承応しょうおう巳年みどし八月十一日の黄昏ゆうぐれのことであった。与右衛門よえもん夫婦は畑から帰っていた。二人はその日朝からいていた豆を数多たくさん背負っていた。
累物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白と黒は大の仲好なかよしになって、始終共に遊んだ。ある日近所の与右衛門よえもんさんが、一盃機嫌で談判だんぱんに来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今も屋敷やしきの周囲には堀ありて水を通ず。刀剣馬具あまたあり。当主は安倍与右衛門よえもん、今も村にては二三等の物持ものもちにて、村会議員なり。安倍の子孫はこのほかにも多し。盛岡の安倍館あべだての附近にもあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
小間物屋のおかみが帰ると、与右衛門よえもんさんが地所を買わぬかと云うて来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)