上衣コート)” の例文
それに、仲なか確固女しっかりものの証拠には、上衣コートの中に三千弗の紙幣を縫い込んで来るようになどと、誰にでもおいそれと浮かぶ智慧ではない。有難い。
斧を持った夫人の像 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あとはネクタイ、ズボン、胴衣チヨツキ上衣コート、と苦もなく着せられ、白の手套てぶくろは胸のポツケツトに半分出して入れて置くものと教へられて、此れで装束は一先づ成りぬ。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
教壇に立ツても、調子こそ細いが、白墨チヨークの粉だらけになツた手を上衣コートこすり付けるやら、時間の過ぎたのもかまはずに夢中で饒舌しやべツてゐるやら、講義は隨分熱心な方であるが、其の割には學生は受ぬ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とややはじらい気味に、幾分愁然と上衣コートの内側を裏返して見せた。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
紅い上衣コートを着て私の行くところ
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)