三鞭シャンペン)” の例文
最初の前菜オウドーブルの時は、あすこでスチュワートたちとお客様方の御接待おとりもちをいたしておりましたが、三鞭シャンペンになりましてからは、ここに立っておりました
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
トム公は、愉快で愉快でたまらないように、足をはずませて、三鞭シャンペンのコロップみたいに踊りながら
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一行は、噴き出る汗を持て余して、何をする気もなく、甲板に揺り椅子を並べてしきりに冷やし三鞭シャンペンの杯を傾けていた。満潮が重く渦巻いて、いつもよりは速い水勢である。
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
蒼白い顔も少し三鞭シャンペンに色づいて、高雅な悠揚たる態度も、いくらか活気を帯びて居ります。
地階でも一階でも、美味な小食が供され、葡萄酒、三鞭シャンペン麦酒ビールが沢山あった。外庭では光まばゆい花火が打ち出され、すべてをひっくるめて、これは非常なもてなしであった。
なまなましい心の痛手も三鞭シャンペンの泡のように景気のいゝ恋愛も、その思出となるといつの間にか黴が生えたり、鼠に喰われたりする。いわゆる人生のこと、よくは判らないが、大方これでいゝのだろう。
山を思う (新字新仮名) / 石川欣一(著)
もちろん誰も、この芝居気たっぷりの気障きざな伯爵の言葉になぞ、乗ったわけではない。がヘンメル家と聞いた途端、拳銃ピストル片手に思わず旅行鞄トランクの中をのぞき込んだ。ゴンザレツが三鞭シャンペンいで廻る。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)