三次みよし)” の例文
早く、三次みよしへ行くなら行って調べて、ここを動き出したい心になった。遮断されていた鉄道地図の北のはてが、気がかりになりはじめた。
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
頼氏では此春杏坪きやうへい邑宰いふさいを辞して三次みよしを去つた。年は七十五である。「何同老萼黏枝死。好趁乳鳩呼子帰。」杏坪の子は采真舜燾さいしんしゆんたうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
同族の三次みよしの浅野家でも、芸州の広島でも、鳴物停止なりものちょうじがあったというから、勿論、ここでは享楽的な音響は一切しない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私が五つの秋、二つ年下の妹重子が、五里はなれた三次みよしという町の叔母の家へ養女に貰われて行った。もとよりそんな事情は後になって知ったのだ。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
三次みよし町に疎開した二人の子供が無事でこの家に戻って来て、みんなでまた河遊びができる日を夢みるのであった。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
「ふーん。そんなことってあるものなのかしら。——そいで、どういうところなの、その三次みよしって……」
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
広島駅で一度下車して、五、六丁ばかり東にあたる東広島駅から芸備鉄道に乗り換えて、三時間ほど川や、小山や、農家などばかり見える田舎を走ると三次みよしという駅(終点)に着きます。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
三次みよしの城主浅野因幡守長治いなばのかみながはるの娘で、輿入こしいれをする前までは
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それとも、つや子が自身で縫子の夢にきこえた三次みよしというところを訪ねて行きたいこころもちだろうか。
播州平野 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)