一銭いっせん)” の例文
旧字:一錢
その夜から、新吉もきえちゃんもわか姉さんもみんなばつを受けました。お小使いは一銭いっせんももらえなくなるし、三度の食事は二度になりました。それも、犬が食べるような粗末そまつな食事でした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それを見られると、皆さんが迷惑すると思ってね。わたしは丁度はばかりに入っていたから、外へ逃げ出したんだけれど、一銭いっせんも持っていないから、自働電話をかける事も出来ないんでしょう。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
だれも一銭いっせんももっていないのだ。ぞうりは買えるわけがない。はだしで帰らねばならないだろうことは、歩いてきた道の遠さと考えあわせて、ぞうりのきれかけたものの気持はよけいみじめだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
尽日無人出一銭 尽日ひねもす ひと一銭いっせんいだすものし〕
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)