一如いちにょ)” の例文
別の語で言えば体霊一如いちにょの考え方であったことを意味するかと思うが、その点は深く入って行く必要もまた能力も私には無い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
稲田、福原をあわせて何千石という広茫こうぼうな青田をわたって来るすず風が、絶えず、この僧俗一如いちにょの家庭を清新に洗っていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
物心一如いちにょというような、この荒唐な夢が余りにも明らかに実現され、その原理に従って現実に原子爆弾が出来たのである。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
今は誰の眼からも隠れてしまった——今は巨大な闇と一如いちにょになってしまった——それがこの感情なのだろうか。
闇の絵巻 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
この男が、竹を鳴らすことに、どれだけの慰安と、一如いちにょとを、見出しているのだかそれはわかりません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かくして自然と自覚と自由とは純粋経験の状態においてただちに融合して一如いちにょとなるのである。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
工藝においては用美一如いちにょです。
民芸とは何か (新字新仮名) / 柳宗悦(著)