一夜ひとばん)” の例文
翌暁あくるあさ小樽に着く迄は、腰下す席もない混雑で、私は一夜ひとばん車室の隅に立ち明した。小樽で下車して、姉の家で朝飯をしたため、三時間許りも仮寝うたたねをしてからまた車中の人となつた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
冬季ふゆきなどは困って睾丸火鉢きんたまひばちの中へ消炭けしずみなどを入れ、ブウ/\と吹いて震えながら一夜ひとばん明かすものが多い世の中で、裏店うらだなや何かで難儀して居て一俵買が出来ねえで困って居るものが有りやんすから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)