“マタドール”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
仕止師50.0%
闘牛士50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仕止師マタドールは右手に細身ほそみつるぎ、左手に赤布ムレエータを拡げ、牛の前に突っ立ち、やっ! とばかしに襟筋に剣を突っ立てたがなかなか「突っ通し」というわけにはゆかない。
たちまち桟敷さじきの上からもアーチの上からも拍手と口笛が湧き起こり、おのおの贔負ひいきとする仕止師マタドールの名を呼びかけるその声々、円戯場アレエヌの壁もために崩れ落つるかと思わるるばかり。
これが砂地のまん中に立ち止まると、会長席の前で献辞ブリンデアを述べる仕止師マタドールのように一声高くえ立てたが、その声の素晴らしさというものはもっぱら大工場のサイレンかと思われるばかり。
同好の貴婦人たちと連日闘牛場コリダ特等席パレラスに陣取って、夜はこれら贔屓ひいき闘牛士マタドールたちを引き具して宴席を共にし、ほとんど家で晩餐なぞを取ったこともないのであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)