“むしろど”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
蓆戸71.4%
筵戸14.3%
莚戸14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見廻すと、裏手の蓆戸むしろどの前には、さっき彼に後を見せた、あの牛飼いの若者が、これも眼を血走らせたまま、相手の危急を救うべく、今度は大きな桶を一つ、持ち上げている所であった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女は入口の筵戸むしろどを捲き上げた。陽の光りは新しい小屋いっぱいに流れ込んだ。病人の頬や眼窩がんかや咽喉の窪みに深い影が落ちて鎮まった。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
その足の先に月の光が、かすかに青く這い上っていた。かじかの啼くが手近に聞こえ、稲葉を渡って来たこうばしい風が、莚戸むしろどの裾をゆるがせた。高原、七月、静かな夕、螢が草の間に光っていた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)