莚戸むしろど)” の例文
その足の先に月の光が、かすかに青く這い上っていた。かじかの啼くが手近に聞こえ、稲葉を渡って来たこうばしい風が、莚戸むしろどの裾をゆるがせた。高原、七月、静かな夕、螢が草の間に光っていた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)