“ふもみしょう”の漢字の書き方と例文
語句割合
父母未生100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
エレーンがランスロットに始めて逢う、この男だぞと思い詰める、やはり父母未生ふもみしょう以前に受けた記憶と情緒じょうしょが、長い時間をへだてて脳中に再現する。二十世紀の人間は散文的である。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余が寂光院じゃっこういんの門をくぐって得た情緒じょうしょは、浮世を歩む年齢が逆行して父母未生ふもみしょう以前にさかのぼったと思うくらい、古い、物寂ものさびた、憐れの多い、捕えるほどしかとした痕迹こんせきもなきまで、淡く消極的な情緒である。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君なぞはせんだっては刑事巡査を神のごとくうやまい、また今日は探偵をスリ泥棒に比し、まるで矛盾の変怪へんげだが、僕などは終始一貫父母未生ふもみしょう以前いぜんからただ今に至るまで、かつて自説を変じた事のない男だ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)