“てあか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
手垢94.1%
手汚2.9%
手穢2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると籠屋は煙管をき、茶を一杯ぐっと傾けて、さて、表座敷の神棚から一冊の手垢てあかに汚れた和本を下ろして来て、無雑作にたずねはじめた。
錦紗 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
湯灌場者は死人の手汚てあかで黒ずんでいるし、ほかの古物も、長らく人間の喜怒哀楽を見て来ているようで、そこらの品の一つ一つが一廉ひとかどの因縁を蔵しているらしく思われる。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
踊子らもりぬきと見えそれぞれに優劣の差のない、揃った清潔な感じがした。手穢てあかの染まぬ若い騎兵の襟首えりくびの白さにちらりとほの見える茎色のつやがあった。実に眼醒めざめるばかりの美しさだった。
罌粟の中 (新字新仮名) / 横光利一(著)