“くうこく”の漢字の書き方と例文
語句割合
空谷100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今日の私どもには、なんでもない平凡な言葉としか聞こえませんが、さすがに舎利弗には、この「因縁」という一語ことばが、さながら空谷くうこく跫音あしおとのごとくに、心の耳に響いたのでした。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「女か」と、すこし落胆したが、それでもこの配所へは空谷くうこく跫音きょうおんだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
己の空費された過去は? 己はたまらなくなる。そういう時、己は、向うの山の頂のいわに上り、空谷くうこくに向ってえる。この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。己は昨夕も、彼処あそこで月に向ってえた。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)