“かしこどころ”の漢字の書き方と例文
語句割合
賢所100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だからおなじ蒙塵もうじん(天子の御避難)でも、今日の恐怖は、往時むかしの比ではない。——賢所かしこどころ渡御とぎょ(三種ノ神器の移動)を忘れなかったのがやっとであった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
賢所かしこどころの宝剣と御鏡とは、行宮を落ちて出るとき、とばりきれを裂いて、彼がきびしく背に守っていたのである。御諚にまかせ、それを兄藤房へわたすと、彼はどこかへ走って行った。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せきとして、これをいぶかるような気配もない。そのまにミシリミシリ堂の廊を一巡してゆくと、神器のある賢所かしこどころでもあろうか、みを垂れた内陣の一隅に夜すがらともっている一すいの灯が見えた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)