“ういう”の漢字の書き方と例文
語句割合
烏有100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この変な私の蒐集も、戦火のために他の一切と共に烏有ういうに帰したが、こんな物よりも港々の思ひ出を伴つて居る菓子の写生帳は、どうなつて居るのか、時々思ひ出すことがある。
菓子の譜 (新字旧仮名) / 岩本素白(著)
こゝに烏有ういう先生といふ談理家ありけり。理を談ずることを旨とする一大文學雜誌を發行せむとおもへども未だ果さず。烏有先生は何故に談理家となりぬるか。曰く記實にあかでなり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
いたづらに材料を他に示すことを惜んでつひにその材料を烏有ういうに帰せしめた学者の罪はつづみを鳴らして攻むべきである。大野洒竹おほのしやちくの一生の苦心に成つた洒竹しやちく文庫の焼けせたけでも残念で堪らぬ。
逍遙子沒理想を唱へて記實の業を操り、談理のやうなさを吹聽ふいちやうす。われこれを評せむとするに當りて、烏有ういう先生が有理想の説を擧げたり。この間わが談理の業を廻護したるところもありき。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)