かさぬ宿かさぬやど
五里の青野に行き暮れて、 山下街の片門に、 いかで一夜の宿乞ふと 都のなまり、——うらわかき 学生づれの七人は 手にこそしたれ、百合の花。 家の下部が、老い屈み、 嗄れごゑに、竹箒 とる手とどめて物いへば、 二室へだてし簾障子の 奥に乳母よ …