野宿のじゆく)” の例文
大地震後だいぢしんご餘震よしんあまりに恐怖きようふするため、安全あんぜん家屋かおく見捨みすてゝ、幾日いくにちも/\野宿のじゆくすることは、震災地しんさいちける一般いつぱん状態じようたいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
屋根やねあり、天井てんじやうあり、かべのあるとふばかり、野宿のじゆくつゆあはれさにまさつて、それはつめたいなさけない、こぼれるなみだこほらぬが不思議ふしぎ御座ござります。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
られては野宿のじゆくでもしなければなるまい、宿屋やどや此近所このきんじよにはなし、うムむかうにえるが人家じんかがあるのだらう。
まだ方角はうがくたしかでない。旅馴たびなれた野宿のじゆく覺悟かくごで、かすか黒雲くろくもごとひくやま四方しはうつゝんだ、はひのやうな渺茫べうばうたる荒野あらのあしにまかせて辿たどること二里にりばかり。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれどその野宿のじゆくも今夜はどんなに怖ろしいことだらう、この空腹や、力なさ、寒さの感じでは、そしてこのみじめな侘びしい氣持では——一の望みもなくなつたこの空しさでは。
御坊様おばうさま血気けつきはやつて近道ちかみちをしてはなりましねえぞ、草臥くたびれて野宿のじゆくをしてからが此処こゝかつしやるよりはましでござるに。はい、けてかつしやれ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
著者ちよしや關東大地震かんとうだいぢしん調査日記ちようさにつきおいて、大地震後だいぢしんご家族かぞくとも自宅じたく安眠あんみんし、一回いつかい野宿のじゆくしなかつたことをしるした。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
老爺ぢいいてこして、さて、かはる/″\ひもし、きもして、嶮岨けんそ難処なんしよ引返ひきかへす。と二時ふたときほどいた双六谷すごろくだにを、城址しろあとまでに、一夜ひとよ山中さんちゆう野宿のじゆくした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すでに、大地震おほぢしん當夜たうやから、野宿のじゆくゆめのまださめぬ、四日よつか早朝さうてう眞黒まつくろかほをして見舞みまひた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)