“遇(お)” の例文
家来(けらい)は、長(なが)い旅(たび)をしたので、顔(かお)の色(いろ)は、日(ひ)に焼(や)けて、頭髪(とうはつ)は、雨(あめ)や、風(かぜ)に、たびたび遇(お)うたことを思(おも)わせるように、伸(の)びて乱(みだ)れていました。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
けど、ほんまの僕の気持いうたら、憎いのんあの男だけで、お前も光子さんも可哀そうな目エに遇(お)うたんや思てるねん。
卍 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
チベット泥棒の規則 一体チベットの盗人に遇(お)うた時はちゃんと規則があるんです。その事は前に聞いて居りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
虎すなわち大いに怒り、懺悔もし竟(おわ)ればすなわち怡悦(いえつ)す〉、同書一に明感という尼、虜賊に獲られ辱を受けず牧羊に使われ、苦役十年、一比丘に遇(お)うて五戒を授かり
四五日の間はおれに遇(お)うても、挨拶(あいさつ)さえ碌(ろく)にしなかった。が、その後(のち)また遇うたら、悲しそうに首を振っては、ああ、都へ返りたい、ここには牛車(ぎっしゃ)も通らないと云うた。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もはや、いずこへ落ちたとて袋の鼠、飢え疲れて名もなき者の手にかかり、縄目の恥なんどに遇(お)うて、先輩や同志の名を汚すはこの上もなき不本意、ここらで落着いて、武士らしい最期(さいご)を
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あのう、ほら暴風(しけ)に遇(お)うた船を助けた褒美だよ。」
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
そこで私も経験ある老人に教えられて始めて肺病でない、成程空気の稀薄な土地を長く旅行したためにこういう害に遇(お)うたのかと漸く安心致しました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こうして、たがいに遇(お)うたものは、また永久(えいきゅう)に別(わか)れてしまいました。いつまた、おじいさんと利助(りすけ)のさかずきと孫(まご)とが、相見(あいみ)るときがあるでありましょうか。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうしてさっきの電話では盗難に遇(お)うたようにいうたけど、実はただの盗難ではない。
卍 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
兄さん! 僕の真実(ほんとう)の母さんは生ているよ。隣村の杉の森の中に住んでいて、僕が行って遇(お)うた夢を
迷い路 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「九つにしたら大きいなあ、さっき門(かど)で遇(お)うた時、哲雄ちゃんか思うたわ」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なぜそういう事実なれば私とビールガンジで遇(お)うた時分にこの事実を
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
春(はる)に遇(お)うて、これからはなやかな、暖(あたた)かい太陽(たいよう)の光(ひかり)を浴(あ)びて、ちょうや、みつばちの歌(うた)を聞(き)いて、楽(たの)しい日(ひ)を送(おく)ろうと思(おも)っているまもなく、花(はな)も、葉(は)も、ふみにじられて
つばきの下のすみれ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふん、今度キリレンコの兄さんに遇(お)うたらアドレッス聞いて見るわ」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私(わたし)は、海(うみ)や、山(やま)や、町(まち)の上(うえ)を旅(たび)して、あてなく空(そら)のかなたから、かなたの空(そら)へと飛(と)んでゆく鳥(とり)であります。悲(かな)しいことも、さびしいことも、数(かず)あまりあるほどのいろいろなめに遇(お)うてきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
口惜(くや)しまぎれにいろいろな人にしゃべったところが、外にもそんな目エに遇(お)うた人たあんとあるいうこと分って来て、それが綿貫は、自分がええ男で異性に好かれるいうことよう知ってますさかい
卍 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)