身震みぶるひ)” の例文
白樺しらかんばよ、蓬生よもぎふ大海原おほうなばらゆあみする女の身震みぶるひ、風がその薄色の髮に戲れると、おまへたちはなにか祕密を守らうとして象牙の戸のやうにあしを合せる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
が、砂地すなぢ引上ひきあげてある難破船なんぱせんの、わづかに其形そのかたちとゞめてる、三十こくづみ見覺みおぼえのある、ふなばたにかゝつて、五寸釘ごすんくぎをヒヤ/\とつかんで、また身震みぶるひをした。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をんなはあとびつしやりをする、脊筋せすぢよぢらす。三俵法師さんだらぼふしは、もすそにまつはる、かゝとめる、刎上はねあがる、身震みぶるひする。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うませなはらかはゆるめてあせもしとゞにながれんばかり、突張つツぱつたあしもなよ/\として身震みぶるひをしたが、鼻面はなづらにつけて、一つかみ白泡しろあは吹出ふきだしたとおもふと前足まへあしらうとする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たのが、心持こゝろもちわるけりや、刺身さしみにしてべないかツていふとね、身震みぶるひをするんだぜ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
左樣さうだ、刺身さしみは一すんだめしで、なますはぶつぶつぎりだ、うをたのは、べるとにくがからみついたまゝあたまつながつて、ほねのこる、さらなか死骸しがいうしてはしがつけられようといつて身震みぶるひをする
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
父様おとつさんトこの母様おつかさんとがいても身震みぶるひがするやうな、そうママいふひどいめに、くるしい、いたい、くるしい、つらい、惨刻ざんこくなめにつて、さうしてやう/\おわかりになつたのを、すつかりわたしおしへてくだすつたので。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)