此方このはう)” の例文
此方このはうからくといへ恥辱ちじよくにもなるじつにくむべきやつではあるが、情實じやうじつんでな、これほどまでみさをといふものを取止とりとめていただけあはれんでつて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
以手紙てがみをもつて申上候貴兄きけい彌々いよ/\安全あんぜん醫業いげふ被成なされ目出度めでたくぞんじ奉つり候然れば此方このはう八年まへ近邊きんぺんよりの出火しゆつくわにて家財道具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宜道ぎだうんなはなしをして、あん宗助そうすけ東京とうきやうかへつてからも、まつた此方このはう斷念だんねんしないやうにあらかじめ間接かんせつ注意ちゆういあたへるやうえた。宗助そうすけつゝしんで、宜道ぎだうのいふことみゝした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此方このはうは、やゝ細面ほそおもてで。結綿ゆひわたむすめは、ふつくりしてる。二人ふたりともかつらかぶつたかとおもふ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
伊留満喜三郎 如何にも伊留満あんとにゆすは此方このはうぢや。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
此方このはう結句けつく気楽きらくです。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
實事まことと思ひ然らば我等と同職どうしよくなればくはしく尋る程ならばたとへ廣き御城下じやうかでも知ぬ事は有まじ今夜こんや此方このはうとまり明日未明みめいより餠屋仲間なかまを一々尋ね見るべし我も仲間帳面なかまちやうめん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かへつて此方このはう兄弟きやうだいらしかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
オヽおもしろし覺悟かくごとはなん覺悟かくご許嫁いひなづけ約束やくそくいてしゝとのおのぞみかそれは此方このはうよりもねがことなりなんまはりくどい申上まをしあぐることのさふらふ一通ひととほりも二通ふたとほりもることならずのちとはいはずまへにてれてるべしれてらん他人たにんになるは造作ぞうさもなしと嘲笑あざわらむねうちくは何物なにもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とる所存なれば今吉三郎が來りしを忌々敷いま/\しく思ひ何卒して田舍ゐなか追歸おひかへさんと心にたくみ夫は態々わざ/\尋ね來りしかど此方このはうかはる事なければ今母公はゝご對面たいめんするには及ばず早々さう/\國へ歸りて母を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)