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おおむ
ふりがな文庫
“
概
(
おおむ
)” の例文
これが全身
丸
(
まる
)
で彫刻製作されるとなると、原図案とはまた
異
(
かわ
)
ったものとなることであるが、
概
(
おおむ
)
ねこの原図によったものでありました。
幕末維新懐古談:68 楠公銅像の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
その史料もまた
概
(
おおむ
)
ね追憶によって成ったものであり、
然
(
しか
)
らざるものも事態の本質がさながらにそこに表現せられているとは限らない。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
ここから南北の
嶺道
(
みねみち
)
は、嶺ながら
概
(
おおむ
)
ね平らだった。余吾西岸の
足海
(
たるみ
)
、茂山のあたりまで、ほとんどゆるい傾斜をもった降りである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、天保以後の句は
概
(
おおむ
)
ね卑俗陳腐にして見るに堪へず。称して月並調といふ。しかれどもこの種の句も多少はこれを見るを要す。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしながら、当時は学者は
概
(
おおむ
)
ね皆な憲法とは通常の法律を指すものであって、箕作博士の訳語は当っておらぬと言うておった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
▼ もっと見る
往時羅馬においては遊覧船は
概
(
おおむ
)
ね鳥の形に造り、殊に紅鶴の恰好が非常に多く、櫂はことごとく彩色せられていたらしいことは
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
今では沖縄へ行くのには
概
(
おおむ
)
ね西海岸の航路を取っているが、古くは東海岸を主としていたのではないかということを説いてみたいのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
概
(
おおむ
)
ね予定通りの展開もできないような卑屈な渋滞状態をひきおこし、却って真実を逸しがちであるばかりか、渋滞状態の悪あがきの中では
文章の一形式
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
然
(
しか
)
るに
遺憾
(
いかん
)
ながら日本に於てはこの男女の関係というものが
甚
(
はなは
)
だ漠然たるもので、まず
概
(
おおむ
)
ね何事にも服従という義務を教ゆる他に何もない。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
労働者の境遇に同情するという立派な理由もあって、最近の同盟罷工が
概
(
おおむ
)
ね官憲に由って善意に保護されているのを見ると
階級闘争の彼方へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
前田家、上杉家等の貸附はほぼ取り立ててしまい、家に貯えた古金銀は
概
(
おおむ
)
ね
沽却
(
こきゃく
)
せられたそうである。しかし香以の豪遊は未だ衰えなかった。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
早馬駅
(
はゆまうまや
)
」は、
早馬
(
はやうま
)
を準備してある
駅
(
うまや
)
という意。「堤井」は、湧いている泉を囲った井で、古代の井は
概
(
おおむ
)
ねそれであった。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
はげしい時代の動きは、家中の地位によって
概
(
おおむ
)
ね二派の意見を
醸
(
かも
)
すのであった。陰に陽にあらそいながら、行くべきところに行き着きかけていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
前に他の章(芸術に於ける詩の概観)で説いたように、
概
(
おおむ
)
ねの小説は、本質に於て主観的な詩的精神に情操している。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
たまたま食通と言われる人たちも、大抵は下手物通というところであって、その志すところは
概
(
おおむ
)
ね低い。そして、その知るところは凡食の一部分に過ぎない。
料理一夕話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その他この書の研究者は
概
(
おおむ
)
ね古代の習慣、思想等の考古学的研究に心を奪われて、この書の神髄を
捉
(
とら
)
え得ないのである。これ研究の態度が正しからぬためである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
マーシャル特産の蛸葉の繊維で編んだ
団扇
(
うちわ
)
、手提籠の類は、
概
(
おおむ
)
ねこうした縁の下の住民の手内職である。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
然
(
しか
)
ればその犠牲者は、
概
(
おおむ
)
ね水戸と朝廷との間を
周旋
(
しゅうせん
)
したる、在京都の諸藩士、諸浪人にして、松陰の如きは、
固
(
もと
)
よりこれに対して何らの関係ある筈なかりしなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
百
仭
(
じん
)
の崖上
僅
(
わづか
)
に一条の
笹
(
ささ
)
を
恃
(
たの
)
みて
攀
(
よ
)
ぢし所あり、或は左右両岸の大岩
既
(
すで
)
に
足
(
あし
)
を
噛
(
か
)
み、前面の危石
将
(
まさ
)
に頭上に
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
らんとする所あり、一行
概
(
おおむ
)
ね多少の負傷を
被
(
かうむ
)
らざるはなし。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
概
(
おおむ
)
ね、猟師とか、
岩魚
(
いわな
)
釣りとか、
杣人
(
そまびと
)
の類か、または、かつて陸地測量部の人夫として働いた事があるというような人を、辛うじて探し出して、頼むべき伴侶とする外はなかったのである。
案内人風景
(新字新仮名)
/
百瀬慎太郎
、
黒部溯郎
(著)
その他弁護士に関する諺は随分沢山あるが、
概
(
おおむ
)
ね皆な
素人
(
しろうと
)
が
拵
(
こしら
)
えた悪口であって、ちょうど我邦の川柳に医者の悪口が多いのと同様である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
そして政治、つまりは現実と常識に対する反骨が文学の精神であり、咢堂の精神は
概
(
おおむ
)
ねかくの如きものであったと僕は思う。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
この蔽石それ自身
穹窿
(
アーチ
)
形をなしているものが
概
(
おおむ
)
ね全部であって、別に穹窿形天井を後からくっ付けたり、入り口を有する廻廊式のものもあり
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
二人
(
ににん
)
年歯
(
ねんし
)
の懸隔は、
概
(
おおむ
)
ね迷庵におけると同じく、抽斎は
画
(
が
)
をも少しく学んだから、この人は抽斎の師の
中
(
うち
)
に列する方が妥当であったかも知れない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ところが、現存の民俗とても、その意義なり精神なりはやはり解釈を要するのであるから、こういう知識は
概
(
おおむ
)
ね自己の特殊の解釈によって成立っているのである。
日本上代史の研究に関する二、三の傾向について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
今日の
所謂
(
いわゆる
)
プロレタリア詩の如き、
概
(
おおむ
)
ね皆この類のものであるから、特に詩壇のために
啓蒙
(
けいもう
)
しておこう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかしヨブのこの答を借りて我らは「誰か汝らの言いし如き事を知らざらんや」と言わんとする。
畢竟
(
ひっきょう
)
かの新説と称するもの、
概
(
おおむ
)
ね旧説の焼き直したるに過ぎない。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
女が男子を選択する位置に
就
(
つ
)
いた。上古の歌は
概
(
おおむ
)
ね男子がその
切
(
せつ
)
ない心を女に伝うる機関であった。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
しかも兵士が挺身肉薄敵城を乗り取らんとする時、彼らの勇気を鼓舞する者は、抜刀隊一曲の歌ならざるべからず。大喝采的の作は
概
(
おおむ
)
ねかくの如し。彼らは平易にして趣味低きを要す。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
支那事変に先立つこと二十一年、我が国の人口五千万、歳費七億の時代の著作であることを思い、その論旨の
概
(
おおむ
)
ね
正鵠
(
せいこく
)
を得ていることに三造は驚いた。もう少し早く読めば良かったと思った。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
同じく旅人が、「昔見し
象
(
きさ
)
の小河を今見ればいよいよ
清
(
さや
)
けくなりにけるかも」(巻三・三一六)という歌を作っていて効果をおさめているのは、旅人の歌調が
概
(
おおむ
)
ね直線的で太いからでもあろうか。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私はただ現在のいわゆる郷土研究が、もしわが郷土を視て他を省みなかったならば、結果は
概
(
おおむ
)
ね
此
(
かく
)
の如くなるであろうということを、例示するだけの小事業を以て、満足しようとしているのである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
本篇の主人公、勝
夢酔
(
むすい
)
である。捧腹絶倒的な怪オヤジであるが、海舟に具わる天才と筋金は
概
(
おおむ
)
ね親父から貰ったものだ。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
わたくしは今これを筆に
上
(
のぼ
)
するに至るまでには、文書を捜り寺院を
訪
(
と
)
い、また幾多の先輩知友を
煩
(
わずら
)
わして解決を求めた。しかしそれは
概
(
おおむ
)
ね皆
徒事
(
いたずらごと
)
であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかしその規定の内容に至っては、
概
(
おおむ
)
ね創設に係り、貞永式目を踏襲した如く見えるものは少ないようである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
概
(
おおむ
)
ね現代の文学者は、詩人でもなく美術家でもない、中途半端で
雑駁
(
ざっぱく
)
なデモ文士にすぎないのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
もとよりその間に密確なる区劃をなさんは無稽の業に属すといへども大体の状態は
概
(
おおむ
)
ね
此
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
きか。
史論の流行
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
(著)
故に同時代の句は
概
(
おおむ
)
ね善し。元禄の句はこれに比すればややたるみたり。しかれどもたるみ様全体にたるみてしかもその程らひ善ければ、元禄の佳句に至りては天明の及ぶ所にあらず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
女は
二十
(
はたち
)
以前、それから母になって後という者は
概
(
おおむ
)
ねそれらの欲が少くなり、または殆ど忘れる者さえあると申しますのに、近年男の文学者の諸先生の中には中年の恋と申すような事が行われます。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
江戸の精神、江戸趣味と称する通人の魂の型は
概
(
おおむ
)
ね荷風の流儀で、俗を笑い、古きを尊び懐しんで新しきものを軽薄とし、自分のみを高しとする。
大阪の反逆:――織田作之助の死――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
蕪村の句には、こうした裏町の風物を叙したものが特に多く、かつ
概
(
おおむ
)
ね
秀
(
すぐ
)
れている。それは多分、蕪村自身が窮乏しており、終年裏町の
侘住
(
わびずま
)
いをしていたためであろう。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
概
(
おおむ
)
ね皆衣食だに給せざるを以て、これに及ぶに
遑
(
いとま
)
あらざるのである。
宜
(
よろし
)
く現に甲冑を有せざるものには、金十八両を貸与してこれが
貲
(
し
)
に
充
(
み
)
てしめ、年賦に依って還納せしむべきである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
糸
抔
(
など
)
を紺に染むれば糸が強く丈夫になるとは俗に言ふ所なり。されど朝顔の花は紺色のものもやはりその朝限りの命にて強くもあらずとおどけ興じたるなり。也有の句
概
(
おおむ
)
ねこの
類
(
たぐい
)
なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
テンム(天武)天皇の時は親政であったかと思われるが、ジトウ(持統)天皇の時はもはやそうではなくなり、それから後は
概
(
おおむ
)
ねフジワラ(藤原)氏などの
権家
(
けんか
)
が実権をもつようになった。
日本歴史の研究に於ける科学的態度
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
今日の童話にはこの類型は甚だ多いが、バカがメデタシになるという特殊なテクニックは
概
(
おおむ
)
ね不自然でもどかしい。
日本の盲点:子供の本から
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これは
概
(
おおむ
)
ねそれに接近する地域の住民の行動にまかせてあったらしく、朝廷の関与することが少く、そうして大勢においては日本民族が優者として徐々にアイヌの住地に進出していったから
建国の事情と万世一系の思想
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
子の刻頃になって、両藩の士が来て、只今七藩の家老方がこれへ出席になると知らせた。九人は
跳
(
は
)
ね起きて迎接した。七家老の中三人が膝を進めて、かわるがわる云うのを聞けば、
概
(
おおむ
)
ねこうである。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
然し浄三はすでに
臣籍
(
しんせき
)
に下った故にと固辞するので、その弟の大市をたて、宣命も作られ、
輿論
(
よろん
)
も
概
(
おおむ
)
ね決していた。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その仏教に関するものは
概
(
おおむ
)
ね圏外に
抛擲
(
ほうてき
)
せらるるに非ざれば、すなはち過度もしくは見当違ひの非難を受くるに過ぎざりしが、近時新史学の研究せらるるに及びて、次第にその偏見なりしを発見し
仏教史家に一言す
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
、
小竹主
(著)
尤
(
もっと
)
も、この精神は、ひとり日本に於て見られるばかりではなく、欧洲に於ても、古典と称せられるものは
概
(
おおむ
)
ね
斯様
(
かよう
)
な精神から創り出されたものであった。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
“概”の意味
《名詞》
(とかき)枡からはみ出た分をならす棒(「おおむね」の原義)
(出典:Wiktionary)
概
常用漢字
中学
部首:⽊
14画
“概”を含む語句
大概
概略
梗概
概括
概念
概説
一概
気概
概算
其概略
氣概
概観
詠歌大概
西籍概論
実体概念
既成概念
機能概念
概論
梗概的
概觀
...