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本望
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ほんもう
ふりがな文庫
“
本望
(
ほんもう
)” の例文
後日に、
徳川家
(
とくがわけ
)
の手にたおれるよりは、故主の若君のまえで、報恩の一死をいさぎよくささげたほうが、
森子之吉
(
もりねのきち
)
の
本望
(
ほんもう
)
であったのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうりでただの人ではないと
思
(
おも
)
いました。わたしは
武蔵坊弁慶
(
むさしぼうべんけい
)
というものです。あなたのようなりっぱな
御主人
(
ごしゅじん
)
を
持
(
も
)
てば、わたしも
本望
(
ほんもう
)
です。」
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
自身にも言い聴かせて「私は何も前の奥さんの
後釜
(
あとがま
)
に坐るつもりやあらへん、維康を一人前の男に出世させたら
本望
(
ほんもう
)
や」
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
今夜直ぐに一角の隠家へ踏込んで恨みを晴し、
本望
(
ほんもう
)
を
遂
(
と
)
げる積り、なれども女の細腕、
若
(
も
)
し返り討になる様な事があったならば、惣吉が成人の上
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
不幸にして、お豊はあれから息を吹き返した、真三郎は永久に帰らない、死んだ真三郎は
本望
(
ほんもう
)
を遂げたが、生きたお豊は、その
魂
(
たましい
)
の置き場を失うた。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「足しになろうがなるめえがいいやな。おいらはただ、お前の
敵
(
かたき
)
を討ってやりさえすりゃ、それだけで
本望
(
ほんもう
)
なんだ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
でもね、私は悲しいとは思いませんで、そうして
本望
(
ほんもう
)
を達した、兄の仕合せが、涙の出る程嬉しかったものですよ。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ハハハハそう云う人がせめて百人もいてくれると、わたしも
本望
(
ほんもう
)
だが——随分
頓珍漢
(
とんちんかん
)
な事がありますよ。この間なんか妙な男が尋ねて来てね。……」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古千屋
(
こちや
)
はこの話を耳にすると、「
本望
(
ほんもう
)
、本望」と声をあげ、しばらく微笑を浮かべていた。それからいかにも疲れはてたように深い眠りに沈んで行った。
古千屋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
海
(
うみ
)
を
生活
(
せいかつ
)
の
戦場
(
せんじょう
)
とするものには、
海
(
うみ
)
の
上
(
うえ
)
で
死
(
し
)
ぬことは、
本望
(
ほんもう
)
です。
私
(
わたし
)
の
命
(
いのち
)
は、
海
(
うみ
)
に
捧
(
ささ
)
げます。どうぞ、
祖母
(
そぼ
)
の
達者
(
たっしゃ
)
のうちだけ、
私
(
わたし
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてください。
海の踊り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そなたは
飽
(
あく
)
まで木石の味方をされるゆえ、わたしは何処までも人情の味方をせずばなるまい。そなたと永劫離れぬ双生像に
鋳
(
い
)
られるなら、娘も
嘸
(
さぞ
)
かし
本望
(
ほんもう
)
でござろう。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「よし、それで最後の合戦をしよう。武田博士の潜水艦を一隻でも沈めてやれば、僕は
本望
(
ほんもう
)
だ。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「兄さん。気のすむように、どうにでもして下さい。わたし
本望
(
ほんもう
)
なのよ。兄さんに殺されりゃアほんとうに嬉しいのよ。どうせ、生きていたって仕様のない身なんだから。」
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうすれば、どんなにか
嬉
(
うれ
)
しかろう、
本望
(
ほんもう
)
じゃ、と思われたそうな。迷いと申すはおそろしい、
情
(
なさけ
)
ないものでござる。世間
大概
(
たいがい
)
の馬鹿も、これほどなことはないでございます。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしお
目
(
め
)
にかかって
見
(
み
)
ればいつに
変
(
かわ
)
らぬお
若
(
わか
)
さ……
俺
(
わし
)
はこれで
本望
(
ほんもう
)
でござりまする……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お前の
強情
(
ごうじょう
)
なのにはわしも
呆
(
あき
)
れた。これが世界で一番高い山だ。もう世界中でこれより高いところはない。ここまでくればお前も
本望
(
ほんもう
)
だろう。これからまた下へおりて行くがいい。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
數
(
かず
)
の
中
(
なか
)
には
眞
(
ま
)
にうけて
此樣
(
こん
)
な
厄種
(
やくざ
)
を
女房
(
にようぼ
)
にと
言
(
い
)
ふて
下
(
くだ
)
さる
方
(
かた
)
もある、
持
(
も
)
たれたら
嬉
(
うれ
)
しいか、
添
(
そ
)
うたら
本望
(
ほんもう
)
か、
夫
(
そ
)
れが
私
(
わたし
)
は
分
(
わか
)
りませぬ、そも/\の
最初
(
はじめ
)
から
私
(
わたし
)
は
貴君
(
あなた
)
が
好
(
す
)
きで
好
(
す
)
きで
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こうヤキが廻ったからには、しょせん悪あがきをしてもそれは無駄。千仞の功を
一簣
(
いっき
)
に欠いたが、
明石
(
あかし
)
の浜の漁師の子が、五十万両の万和の養子の座にすわるとありゃアまずまず
本望
(
ほんもう
)
。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「なあに、わしのことは、心配いらぬよ。こんな身体でお役に立てば死んでも
本望
(
ほんもう
)
だ。ただ三吉を連れて行くのは、可哀想でもあるけれど、あれは案外平気で、行って呉れるだろうと思う」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
同行五 長い間の願いがかない、このような
本望
(
ほんもう
)
なことはございません。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
天下の首唱には相成り申すべく、私義
本望
(
ほんもう
)
これに過ぎず候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「おお、あのなかへ
松明
(
たいまつ
)
を、ほうりこんできたんだ。ああいい
気味
(
きみ
)
、その火を見ながら死ぬのは
竹童
(
ちくどう
)
の
本望
(
ほんもう
)
だ、おいらは本望だ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
村「旦那、貴方は本当に私の様なものをそう云って下されば、私は友之助に棄てられても
本望
(
ほんもう
)
でございますが、其の時は貴方私のような者でも置いて下さいますか」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その目印にこの紙を頭に附けたんだから、この紙をお前さんに取ってもらえば
本望
(
ほんもう
)
というものだよ
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしわざわざ尋ねて来ながら、
刺
(
し
)
も通ぜずに帰るのは、もちろん
本望
(
ほんもう
)
ではありません。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
八重
(
やへ
)
さぞ
打
(
うち
)
つけなと
惘
(
あき
)
れもせんが
一生
(
いつしやう
)
の
願
(
ねが
)
ひぞよ
此心
(
このこゝろ
)
傳
(
つた
)
へては
給
(
たま
)
はるまじや
嬉
(
うれ
)
しき
御返事
(
おへんじ
)
聞
(
き
)
きたしとは
努々
(
ゆめ/\
)
思
(
おも
)
はねど
誰
(
た
)
れ
故
(
ゆゑ
)
みじかき
命
(
いのち
)
ぞとも
知
(
し
)
られて
果
(
は
)
てなば
本望
(
ほんもう
)
ぞかしと
打
(
うち
)
しほるれば
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こんなものでも
幾
(
いく
)
らか
皆
(
みな
)
さまの
手
(
て
)
がかりになれば
何
(
なに
)
より
本望
(
ほんもう
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
此が、
哥太寛
(
こたいかん
)
と云ふ、
此家
(
ここ
)
の
主人
(
あるじ
)
たち夫婦の秘蔵娘で、今年十八に成る、
哥鬱賢
(
こうつけん
)
と云うてね、島第一の美しい人のものに成つたの。和蘭陀の公子は
本望
(
ほんもう
)
でせう……実は其が望みだつたらしいから——
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「目的じゃありません。しかし
本望
(
ほんもう
)
かも知れません」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それでもう、女はほんとうに私のものになり切って了ったのです。ちっとも心配はいらないのです。キッスのしたい時にキッスが出来ます。抱き締めたい時には抱きしめることも出来ます。私はもう、これで
本望
(
ほんもう
)
ですよ」
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
野武士
(
のぶし
)
ずれの
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
をあいてに討死するより、ただ一太刀でも、
甲斐源氏
(
かいげんじ
)
の
怨敵
(
おんてき
)
、
徳川家
(
とくがわけ
)
の旗じるしのなかにきりいって死ぬこそ
本望
(
ほんもう
)
、うれしゅうなくてなんとするぞ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
和尚の言葉は、敵討そのものを
嘲
(
あざけ
)
るのではなくて、寧ろいつまでもこうして、
本望
(
ほんもう
)
を達することのできない自分の
腑甲斐
(
ふがい
)
なさを嘲るために、こう言ったものだろうと思われるのです。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
予
(
かね
)
て良石和尚も云われたが、
退
(
ひ
)
くに利あらず進むに利あり、
仮令
(
たとえ
)
火の中水の中でも
突切
(
つッきっ
)
て
往
(
ゆ
)
かなければ
本望
(
ほんもう
)
を遂げる事は出来ない、
憶
(
おく
)
して
後
(
あと
)
へ
下
(
さが
)
る時は討たれると云うのは此の時なり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「引き上げの朝、
彼奴
(
きゃつ
)
に
遇
(
あ
)
った時には、唾を吐きかけても飽き足らぬと思いました。何しろのめのめと我々の前へ
面
(
つら
)
をさらした上に、御
本望
(
ほんもう
)
を遂げられ、大慶の至りなどと云うのですからな。」
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
袷
(
あわせ
)
ぢやけれどの、
濡
(
ぬ
)
れた
上衣
(
うわぎ
)
よりは
増
(
まし
)
でござろわいの、
主
(
ぬし
)
も分つてある、
麗
(
あでやか
)
な娘のぢやで、お前様に
殆
(
ちょう
)
ど
可
(
よ
)
いわ、
其主
(
そのぬし
)
もまたの、お前様のやうな、
少
(
わか
)
い
綺麗
(
きれい
)
な人と寝たら
本望
(
ほんもう
)
ぢやろ、はゝはゝはゝ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
是まで真実に親子の様に私に目を掛けておくんなすった
姑
(
しゅうと
)
に対して実に済まない、お母さん、其のかわり
屹度
(
きっと
)
、旦那様の
仇
(
あだ
)
を今年の
中
(
うち
)
に捜し出して、
本望
(
ほんもう
)
を
遂
(
と
)
げた上でお詫びいたします
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
甚太夫は
本望
(
ほんもう
)
を
遂
(
と
)
げた
後
(
のち
)
の、
逃
(
の
)
き
口
(
くち
)
まで思い定めていた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
画工
可
(
よし
)
、此の
世間
(
よのなか
)
を、
酔
(
よ
)
つて踊りや
本望
(
ほんもう
)
だ。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これで塙団右衛門も定めし
本望
(
ほんもう
)
でございましょう。」
古千屋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“本望”の意味
《名詞》
本来持っている望み。本懐。
満足。
(出典:Wiktionary)
本
常用漢字
小1
部首:⽊
5画
望
常用漢字
小4
部首:⽉
11画
“本望”で始まる語句
本望遂