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扶持
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ぶち
ふりがな文庫
“
扶持
(
ぶち
)” の例文
「——つまりその記録によりますとですね、吉川銀左衛門氏は、当時、五
石
(
こく
)
十人
扶持
(
ぶち
)
をいただいておったという事でありまして……」
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女はその頃はもう、あてがい
扶持
(
ぶち
)
の別邸住いになっていたが、そこから川村の目を忍んで、
独
(
ひとり
)
でわしのホテルへ遊びに来ることもあった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今の世の価にては侍二人の給金八両、
中間
(
ちゅうげん
)
八人の給金二十両、馬一疋
秣
(
まぐさ
)
代九両を与え、また十人
扶持
(
ぶち
)
五十俵を与うれば、残り百三十九俵あり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
それは、あの日には三十俵五人
扶持
(
ぶち
)
の門田与太郎であった。しかし今は、鶴のような
緊
(
しま
)
った
身体
(
からだ
)
に公然と着る
絆天
(
はんてん
)
や
股引
(
ももひき
)
がよく似合っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
彼の一家も
饑饉
(
ききん
)
に
祟
(
たた
)
られ、その日その日の食い
扶持
(
ぶち
)
にさえ心を労さなければならなかった。その貧困のありさまは彼の日記にこう書かれてある。
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
井上源兵衛といえば、九両三人
扶持
(
ぶち
)
を頂いて、小身ながらも、君候
在世
(
ざいせい
)
の
砌
(
みぎ
)
りはお勝手元勘定方を勤めていた老人である。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
彼女は自分で
食
(
く
)
ひ
扶持
(
ぶち
)
を稼いでゐるので、決して楽ではないであらうに、貧しい中でもリヽーに滋養分を与へると見える。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
三度の食ひ物もあてがひ
扶持
(
ぶち
)
、飯が一杯に味噌汁少々、漬物が二た片、盆も正月も、それで押つ通したといふから、大した
虐
(
いぢ
)
めやうぢやありませんか
銭形平次捕物控:253 猫の首環
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おれは役料を十人
扶持
(
ぶち
)
取っている」と土田は穏やかに云った、「父からきまって貰う
小遣
(
こづかい
)
もある、それに、枡平では勘定をろくさま取らないんだ」
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
世に在るうちは国許藩中において中小姓まで勤め上げて五人
扶持
(
ぶち
)
を食んでいたが、女色のことで主家を浪々して早くから
江戸本所割下水
(
えどほんじょわりげすい
)
に住んでいた。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
太閤
(
たいこう
)
時代からの家柄でね、先祖代々、異国と
御直
(
おじき
)
商売というのをやっていたからなかなか金持よ、俸禄はたった七十俵五人
扶持
(
ぶち
)
しきゃ貰っていねえけれど
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
勝
(
かつ
)
先生なんぞも
裏小路
(
うらこうじ
)
の小さな家にくすぶっておいでの時節ですからね、五千石の私どもに三人
扶持
(
ぶち
)
はもったいないわけですが、しかし恥ずかしいお話ですが
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
城持ちの諸侯ではなかったが、名将の血を
享
(
う
)
けた
後裔
(
こうえい
)
というところから、捨て
扶持
(
ぶち
)
二万石を与えられて、特に客分としての待遇をうけている特別扱いの一家でした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
自分の食い
扶持
(
ぶち
)
は働ける間は働かにゃと、留守番の昼間をぼつぼつと
桶
(
おけ
)
の輪替えなどしていた。それはまるで働ける自分を楽しみきっているかのような様子であった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それは、今まで、さしたるライバルもなく、
呑気
(
のんき
)
にあてがい
扶持
(
ぶち
)
に満足していた公卿たちである。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
復
(
また
)
伊達家へ帰ったが、其時は僅に百人
扶持
(
ぶち
)
を給されたのみであったのに、斎藤兵部というものが自ら請うて
信夫
(
しのぶ
)
郡の土兵五千人を率いて成実に属せんことを欲したので
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは森
権之進
(
ごんのしん
)
と云ふ中老のつむじ曲りで、身分は七十俵五人
扶持
(
ぶち
)
の
御徒士
(
おかち
)
である。この男だけは不思議に、虱をとらない。とらないから、勿論、
何処
(
どこ
)
と云はず、たかつてゐる。
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とかくは有金の何ほどを分けて、若隠居の別戸籍にと内々の相談は
極
(
き
)
まりたれど、本人うわの空に聞流して手に乗らず、分配金は一万、隠居
扶持
(
ぶち
)
月々おこして、遊興に関を据へず
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
捻
(
ひね
)
ったようだけれど、菊太郎さんがあの通り
狂人
(
きちがい
)
のようになっているから、仕方なしに
我
(
が
)
を折ったのらしい。愚痴をこぼしていたよ。嫁は矢っ張り当てがい
扶持
(
ぶち
)
が一番簡単のようだ
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ちっとばかりの宛がい
扶持
(
ぶち
)
で、勝手な熱を吹く。いずれ一泡吹かしてやらなきゃ」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
女房子供をウッチャラカシに養ふたつて、二万ぐらゐの捨て
扶持
(
ぶち
)
はいるだらう。
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
これを通語にて
足
(
た
)
し
扶持
(
ぶち
)
という。食物すでに
足
(
た
)
るも衣服なかるべからず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
三両一人
扶持
(
ぶち
)
を出せば、旗本屋敷で立派な侍が召し抱えられる世のなかに、ぽっと出の若い下女に一年三両の給金を払うというのは、なにか仔細がなければならないと彼は不思議に思っていると
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伊右衛門は女房は子孫のために
娶
(
めと
)
るもので、
妾
(
めかけ
)
として遊ぶものでないから、それほど吟味をするにも及ばないと思った。この
痩浪人
(
やせろうにん
)
は一刻も早く三十俵二人
扶持
(
ぶち
)
の
地位
(
みぶん
)
になりたかったのであった。
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
関の趾は村の北はずれ
字
(
あざ
)
小松にある、関守は戸倉から一人、松浦三郎兵衛を初代とし、土出から一人、星野市之丞を初代として、各々明治まで十三、四代の間之を勤め、二人
扶持
(
ぶち
)
を給されていた。
尾瀬の昔と今
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
どうせ義雄さんの方から節ちゃんの食い
扶持
(
ぶち
)
が行く訳ではなかろうし、台湾の伯母さんから見れば
厄介者
(
やっかいもの
)
が一人舞込むようなものだからねえ。男はそこへ行くと大ざッぱだが、女の人は
細
(
こまか
)
いから。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
青森の人で、手が切れてからも、一年に一度ぐらいは出て来て、子供の食い
扶持
(
ぶち
)
ぐらいはよこす、わ。——それが面白い子よ。五つ六つの時から踊りが
上手
(
じょうず
)
なんで、料理屋や待合から借りに来るの。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
で版摺一人の手間賃が向う
扶持
(
ぶち
)
で五十銭ずつやらなければならん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼女は自分で
食
(
く
)
ひ
扶持
(
ぶち
)
を稼いでゐるので、決して楽ではないであらうに、貧しい中でもリヽーに滋養分を与へると見える。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
打ち見たところ、五人
扶持
(
ぶち
)
ぐらいな
御小人
(
おこびと
)
の住居でもあろうか。勝手つづきの庭も
手狭
(
てぜま
)
で、気のよさそうな木綿着の
御新造
(
ごしんぞ
)
が
払
(
はら
)
い
物
(
もの
)
を出してきた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな所へ寮を建てて、そこへ奥様を住まわせて、あてがい
扶持
(
ぶち
)
をくれて飼って置かれる。……だから奥様にしてからが、お心が面白くないはずだ。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あてがい
扶持
(
ぶち
)
の低い家禄のものとして、余裕のないその日その日は、気の持ちようまでもぎすぎすさせ一図にさせたのだ。ひびき渡る声で彼は云った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
馬廻総支配助役四百二十石十人
扶持
(
ぶち
)
西原知也。そうしてその上に「死」と朱で書いてあるが、墨で二度まで消してあるのは、他の罪科を改めたものとみえる。
めおと蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その頃の秤座は通四丁目の一角を
占
(
し
)
める大きな建物で、役人としては僅か切米十俵二人
扶持
(
ぶち
)
の小身ですが、二戸前の土藏を後に背負つて、繁昌眼を驚かすばかり。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とかくは
有金
(
ありがね
)
の
何
(
なに
)
ほどを
分
(
わ
)
けて、
若隱居
(
わかいんきよ
)
の
別
(
べつ
)
戸籍
(
こせき
)
にと
内〻
(
うち/\
)
の
相談
(
さうだん
)
は
極
(
き
)
まりたれど、
本人
(
ほんにん
)
うわの
空
(
そら
)
に
聞流
(
きゝなが
)
して
手
(
て
)
に
乘
(
の
)
らず、
分配金
(
ぶんぱいきん
)
は一
萬
(
まん
)
、
隱居
(
いんきよ
)
扶持
(
ぶち
)
月〻
(
つき/″\
)
おこして、
遊興
(
ゆうけう
)
に
關
(
せき
)
を
据
(
す
)
へず
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
陸軍大将
(
りくぐんたいしょう
)
になった
本間
(
ほんま
)
さんなんか三人
扶持
(
ぶち
)
の
足軽
(
あしがる
)
だった。実業界ではばをきかしている
綾部
(
あやべ
)
さんがせいぜい五十石さ。
溝口
(
みぞぐち
)
の
叔母
(
おば
)
さんのところが七十石。おまえのお
母
(
かあ
)
さんの里が百石
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「うふふふ、役目はいわいでもわかっておる。捨て
扶持
(
ぶち
)
をもらって幕府のために刺客を勤むる
痩
(
やせ
)
浪人であろう! 拙者はいかにも篁守人、それと知ったらなぜ斬ってかからぬ? 来い!」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
去年三月主君
浅野内匠頭
(
あさのたくみのかみ
)
、
殿中
(
でんちゅう
)
にて
高家
(
こうけ
)
の筆頭
吉良上野介
(
きらこうずけのすけ
)
を
刃傷
(
にんじょう
)
に及ばれ、即日芝の田村邸において御切腹、同時に鉄砲洲の邸はお
召
(
め
)
し
上
(
あ
)
げとなるまで、毛利小平太は二十石五人
扶持
(
ぶち
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
して
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
三一
(
さんぴん
)
とは三と一といふことなり、三は三なれども一はまたピンともいふ、ここに於て三両一人
扶持
(
ぶち
)
をいただくやからをすべて三ピンとは申すなり、まつた、折助といふは、柳原河岸その他に於て
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「わずか五十石八人
扶持
(
ぶち
)
にござります」
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼女は自分で
食
(
く
)
い
扶持
(
ぶち
)
を
稼
(
かせ
)
いでいるので、決して楽ではないであろうに、貧しい中でもリリーに滋養分を与えると見える。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして武蔵の推挙に依って、それから永国は三十人
扶持
(
ぶち
)
で細川家に抱えられ、代々、藩の
刀鍛冶
(
かたなかじ
)
として、城下の高田原楠町に住んでいたそうである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正三郎はまだ家督を取っていないが、奉行職記録所の
頭取心得
(
とうどりこころえ
)
を命ぜられ、役料十人
扶持
(
ぶち
)
を貰っている。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「隠し
扶持
(
ぶち
)
なども進ぜよう。
生活
(
くらし
)
に事を欠かぬように、この美作が世話をしてやろう」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「散々こき使はれた上、三度の食事もあてがひ
扶持
(
ぶち
)
で、可哀さうにあの御姉妹は、腹一杯には水も呑めません。尤も、あの馬鹿息子の言ふ通りに、嫁になる氣になつたら別でせうが」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
然
(
そ
)
うですよ。精々五人
扶持
(
ぶち
)
ですかな」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
転宗すると、幕府の同心になり、この山屋敷のお長屋に住んで二十人
扶持
(
ぶち
)
をうけ、大小チョン
髷
(
まげ
)
、名も二官と名乗って、すっかり日本に帰化しています。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
役目も諸奉行職監査から金穀出納元締役となり、家禄も百三十石から百五十五石十人
扶持
(
ぶち
)
と加増された。
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
食禄は足軽へ毛の生えた五人
扶持
(
ぶち
)
、家族もなく身寄もなく、ろくな友達も無い憐れな存在ですが、今年の参覲交代に、幸か不幸か選ばれてお供の端に加わり江戸のお留守居に
頤
(
あご
)
で使われて
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
三十人
扶持
(
ぶち
)
を給したと云う。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
扶
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“扶持”で始まる語句
扶持米
扶持人
扶持方
扶持高
扶持被下置
扶持取
扶持帳
扶持料
扶持減
扶持離