トップ
>
慣
>
なら
ふりがな文庫
“
慣
(
なら
)” の例文
予は病に余儀なくせられて、毎夜半
凡
(
およ
)
そ一時間がほど、床上に枯坐する
慣
(
なら
)
ひなりき。その夜もいつもの頃、目覚めて床上に
兀坐
(
こつざ
)
しぬ。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
当時の
慣
(
なら
)
いとして、他国に亡命した者は、その生命の保証をその国に盟ってもらってから始めて安んじて居つくことが出来るのだが
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
容態のおもわしくない妻は、もう長い間の病床生活の
慣
(
なら
)
わしから、澄みきった世界のなかに
呼吸
(
いき
)
づくことも身につけているようだった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
月に一度ずつ、珠子が兄を誘って、殿村京子をどこかへ案内して御馳走する
慣
(
なら
)
わしになっていて、今夜はソロモン食堂が選ばれたのだ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いつの戦にでも、その出陣には、春日山の城中で軍神を
斎
(
いつ
)
き祭り、
武諦
(
ぶたい
)
の式を執り行って出ることは、上杉家の
慣
(
なら
)
わしである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
お物語りは
勿体
(
もったい
)
ないが。
斯様
(
かよう
)
な浮世のせつない
慣
(
なら
)
わし。切羽詰まった秘密の
処分
(
さばき
)
は。古今東西いずくを問わない。金の有る無し身分の上下。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けだし相互の侵略に際して、運び去り得ない一切の
糧秣
(
りょうまつ
)
と食糧はこれを焼き払い打ち毀すのが一般の
慣
(
なら
)
いらしいからである1
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
窮厄
(
きゅうやく
)
におりながら、いわゆる
喉元
(
のどもと
)
過ぎて、熱さを忘るるの
慣
(
なら
)
い、
憂
(
う
)
たてや血気の壮士は言うも
更
(
さら
)
なり、
重井
(
おもい
)
、
葉石
(
はいし
)
、
新井
(
あらい
)
、
稲垣
(
いながき
)
の諸氏までも
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
屈託なことのある時の慰安を賜わる所のようにして参候する
慣
(
なら
)
いになっていて、その人たちは院の
御悩
(
ごのう
)
の重いのを皆心から惜しみ悲しんでいた。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「しかし、お客をもてなすということは、私どものこの土地では
慣
(
なら
)
わしではないので。私どもはお客はいらないのです」
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
お小夜も、お冬もそれに
慣
(
なら
)
ひました。お茶は少し
温
(
ぬる
)
くなりましたが、宇治の玉露は、大して味を失つては居りません。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もっとも
食足
(
くいた
)
れば
淫
(
いん
)
を思うのは、我々凡夫の
慣
(
なら
)
いじゃから、乳糜を食われた世尊の前へ、三人の魔女を送ったのは、波旬も
天
(
あ
)
っ
晴
(
ぱれ
)
見上げた才子じゃ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ヘエ、左様で。例年は十二月の十三日に行う
慣
(
なら
)
いでしたが、当年に限って忙しかったので大晦日に致しました。そろそろ湯のわくころでございます」
屋根裏の犯人:――『鼠の文づかい』より――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
クニ子が勤めを終えて戻ってくるまでに、飯だけは炊いておく
慣
(
なら
)
わしの重吉が時には不細工な手ぎわでワケギのぬたを作っていたり、魚を焼いたりもした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
生まれつきひ弱で、勝気ではあっても強気なところが見えない。世間に出てからは他に押され気味で、いつとはなしに
引込
(
ひっこ
)
み
思案
(
じあん
)
に陥ることが
慣
(
なら
)
いとなった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「姉さんの所へ来たのだ。姉さんの所へ来たのだ。」姉さん、勝彦はこの頃、瑠璃子をさう呼び
慣
(
なら
)
つてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
云聞せ
旅裝
(
たびよそほ
)
ひは道々調へんと
先
(
まづ
)
二百兩の金を百兩はお花の胴に附させ殘りの百兩を自分に所持して
慣
(
なら
)
ばぬ旅を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それが
慣
(
なら
)
い
性
(
せい
)
となり遂には煮ても焼ても食えぬ人物となったのである、であるから老先生の
心底
(
しんてい
)
には常に
二個
(
ふたり
)
の人が相戦っておる、その一人は本来自然の富岡
氏
(
うじ
)
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
前にも記しましたように、源内の生まれた頃には世のなかでは儒教や仏教や神道が盛んで、それらに属する古い書物を習い覚えることが一般の
慣
(
なら
)
いであったのでした。
平賀源内
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
慣
(
なら
)
わしとして前のものを「
染附
(
そめつけ
)
」または「
呉州
(
ごす
)
」といい、後のものを「
赤絵
(
あかえ
)
」とか「
上絵
(
うわえ
)
」とか呼びます。よく寿司屋が用いる「
錦手
(
にしきで
)
」の皿や鉢は皆赤絵であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
富家
(
ふか
)
にありてはただ無知
盲昧
(
もうまい
)
の
婢僕
(
ひぼく
)
に接し、
驕奢
(
きょうしゃ
)
傲慢
(
ごうまん
)
の
風
(
ふう
)
に
慣
(
なら
)
い、貧家にありては
頑童
(
がんどう
)
黠児
(
かつじ
)
に交り、
拙劣
(
せつれつ
)
汚行
(
おこう
)
を学び、終日なすところ、ことごとく有害無益のことのみ。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
いらないというと、そのホテルではガイドにコミッションを割り戻す
慣
(
なら
)
わしになっていると言う。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それに
慣
(
なら
)
ってビショット氏も飛行機の製作に苦心されついに成功なされたが、またひどい目にもお逢いなされた。多摩川で試乗なされた節吹矢で射られたということじゃ。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「さうか、そんな
言
(
い
)
ひ
慣
(
なら
)
はしが有つたつけか。ぢや、往つて葉つ葉を捜して来るかな。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
わたしはその時まだ十二であった。Kのおじさんは、肉縁の叔父ではない。父が明治以前から交際しているので、わたしは稚い時からこの人をおじさんと呼び
慣
(
なら
)
わしていたのである。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いかに戦国の
慣
(
なら
)
いとは云え敵と味方に分れて
謀
(
はかりごと
)
の裏をかき合って居るのだとは……蘇秦の豪傑肌な
赫
(
あか
)
ら顔と張儀の神経質な青白い顔とが並び合って落日を浴び
乍
(
なが
)
ら洛邑の厚い城壁に影を
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
のお
供
(
とも
)
といえば、
常
(
つね
)
に
市
(
いち
)
どんと
朋輩
(
ほうばい
)
から
指
(
さ
)
される
慣
(
なら
)
わしは、
時
(
とき
)
にかけ
蕎麦
(
そば
)
の一
杯
(
ぱい
)
くらいには
有
(
あ
)
りつけるものの、
市松
(
いちまつ
)
に
取
(
と
)
っては、
寧
(
むし
)
ろ
見世
(
みせ
)
に
坐
(
すわ
)
って、
紙
(
かみ
)
の
小口
(
こぐち
)
をそろえている
方
(
ほう
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「それは土地の
慣
(
なら
)
はしだから為方がない。その貰ふ人も余所で泊れば、人に煙草を遣るのだからな。お前さんにだつて補助をして、今のやうに暮して行かれるやうにしてくれたぢやないか。」
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
実際
(
じっさい
)
世間
(
せけん
)
の
慣
(
なら
)
わしとしてはいかにも
表門
(
おもてもん
)
をりっぱにし
裏門
(
うらもん
)
を
粗末
(
そまつ
)
にする。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
母親は、それをいつもの
慣
(
なら
)
いであるだけに止めることができなかった。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
心からうれしそうに、隠居は満足
気
(
げ
)
だった。自分のことを、こうして「隠居さん」と
言
(
い
)
い
慣
(
なら
)
わしていたが、気丈そうに見える年寄りも、何かそんなことでユーモラスな愛すべき人に見えるのだった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
そのころ剣客仲間の呼
慣
(
なら
)
わしで、
竹刀
(
しない
)
にあれ木剣にあれ、一足一刀の青眼に構えたまま、我が刀に相手の刀をちっとも
触
(
さわ
)
らせず、二寸三寸と離れて、敵の出る
頭
(
かしら
)
、出る頭を、或いは打ち、或いは突く
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兄は来る客ごとにお世辞の一つのやうに云ひ
慣
(
なら
)
はして居た。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
子どもが参与する
慣
(
なら
)
わしがあったのではないかと思う。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
生かして返さぬまでも、
究竟
(
くっきょう
)
なとりことして、これを責め
折檻
(
せっかん
)
のすえ、敵状を知る手懸りとするなどは、武門の常識、
慣
(
なら
)
わしといってよい。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世間の
慣
(
なら
)
いでは親は親として、御夫婦というものはどんな時にもごいっしょにおいでになることになっています。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「姉さんの所へ来たのだ。姉さんの所へ来たのだ。」姉さん、勝彦はこの頃、瑠璃子をそう呼び
慣
(
なら
)
っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
切れ味の良い剃刀を、かうして親から子へ、姉から弟へと、何代も傳へるのが、昔の人の
慣
(
なら
)
はしでした。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大宅は、先の例に
慣
(
なら
)
って、
先
(
ま
)
ず小石を二つ三つ投げつけると、三匹の犬は、叢の中から、一斉にニョッと首をもたげて、血に狂った六つの目でこちらを睨みつけた。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
間違ったことをしたのだろうかと自分の心をふり返ってもみたが、その時はいねにしろ重吉にしろ、ただ世間並みのようなことを
慣
(
なら
)
ってしただけのように思われた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
もっともお父様はそんな事に就いては黙っておいでになりましたそうですが「三年子なければ去る」という
慣
(
なら
)
わしが福岡にもありましたのに、かんじんのお母様がお家付きで
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その日から、他巳吉は、夜毎同じ刻限に、大念寺の離れへ押しかけてくる
慣
(
なら
)
ひになつた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
櫓こぐ
術
(
すべ
)
教うべしといいし時、うれしげにうなずきぬ、言葉すくなく絶えずもの思わしげなるはこれまでの
慣
(
なら
)
いなるべし、月日経たば肉づきて頬赤らむ時もあらん、されどされど。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
わたくしは老婢が見ず知らずの客を断るのは家の
慣
(
なら
)
わしで
咎
(
とが
)
め立てするものではありませんと雛妓を軽くたしなめてから、「さあさあ」といってかの子を二階のわたくしの書斎へ導いた。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
少
(
わか
)
い時には誰しも自分の身の方向に迷ふものだが、アメリカのある少年が、自分にはどんな
職業
(
しごと
)
が向いてるか知らと、色々思案の末がよくある
慣
(
なら
)
ひで人相見のとこに出かけて往つた事があつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
わざわざ
駕
(
が
)
をまげるのが、長い間の
慣
(
なら
)
わしになっていた。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もとよりここは花山院の
今内裏
(
いまだいり
)
(仮の皇居)だが、天皇のおわすところ、どこでもそこを
清涼殿
(
せいりょうでん
)
と呼ぶのが
慣
(
なら
)
わしなのである。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
源氏はそんな時でなくても十二分に好意を表する
慣
(
なら
)
わしであったが、病気に
托
(
たく
)
して
供奉
(
ぐぶ
)
もしなかった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
何しろ
苫
(
とま
)
三七郎の一座で、
筵
(
むしろ
)
張り同樣の粗末な小屋を掛けるのが、私共の一座の
慣
(
なら
)
はしで、その代り、一日か二日で仕上げてしまひます、その忙しさと申すものは——
銭形平次捕物控:278 苫三七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女
(
かのじょ
)
を救う一番いい方法は、寺へ
頼
(
たの
)
んでしばらく国元の様子の判るまで置いてもらうことだと思いましたが、乱世の
慣
(
なら
)
わし、同じような悲運な事情で寺へ泣付いて来る者がたくさんあって
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
慣
常用漢字
小5
部首:⼼
14画
“慣”を含む語句
習慣
慣習
慣例
見慣
不慣
慣々
食慣
習慣的
物慣
慣用手段
世慣
手慣
看慣
慣性
慣手段
江戸慣
世事慣
金慣
都慣
言慣
...