さびし)” の例文
「内じゃお客様が多いから、離れた処で、二室ふたま借りておくけれど、こんな時はお隣が空室あきまだとさびしいのね。ほほほほほ、」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風恬かぜしづかに草かをりて、唯居るは惜き日和ひより奇痒こそばゆく、貫一は又出でて、塩釜の西南十町ばかりの山中なる塩の湯と云ふに遊びぬ。かへればさびしく夕暮るる頃なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何か仔細しさいの有そうな様子でしたが問返しもせず、徳蔵おじにつれられるまま、ふたりともだんまりで遠くもない御殿の方へ出掛でかけて行ましたが、通って行く林の中はさびしくッて
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
さびしみ』をのみあぢはひぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
その代りさびしい途中、立向うても見送っても、その男を目に留めて、これを絵姿にして、斬る、突く、胸を刺す。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
驚破すはや、彼の座敷を出づるを、送りも行かず、坐りもらぬ宮が姿は、さびしくも壁に向ひて動かざりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひとはしめのさびしみに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
途中でおぶってくれたりなんぞして、何でも町尽まちはずれへ出て、さびしい処を通って、しばらくすると、大きなえのきの下に、清水しみずいていて、そこで冷い水を飲んだ気がする。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あれ、貴方あなた其方そちらからいらつしやるのですか。この通をいらつしやいましなね、わざわざ、そんなさびしい道をおいでなさらなくても、此方こつちの方が順ではございませんか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あれよあれよ、古狐が、坊主に化けた白蔵主はくぞうす。したり、あのすごさ。さびしさ。我は化けんと思えども、人はいかに見るやらん。尻尾を案じた後姿、振返り、見返る処の、こなしおもむき
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つてるものは一人ひとりもなし、りたきやくなかつたが、そのきふまたさびしがした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さびしくつて、世間せけんくらいやうです。——衣絵きぬゑさんはおなくなりなさいました。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
... 小児こどもらの中にづ)まあ、いいおね、媛神ひめがみ様のお庭の掃除をして、どんなにお喜びだか知れません——ねえさん……(さびし微笑ほほえむ)あの、小母おばさんがね、ほんの心ばかりの御褒美ごほうびをあげましょう。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
居所が離れ陰気な部屋の深いせいで、またさびしい汽車でござったのでの。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死んでもさびしい事はねえ、女房が先へ行って待っていら。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まことにさびし汽車きしやであつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小山夏吉はさびし微笑ほほえんだ。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)