)” の例文
旧字:
屋根のくぼみなどに、雨水がたまるからだ。僕等は、それによって、かつやすことができ、雨水を呑んで、わずかに飢えをしのぐのだった。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
そのうちに、のどが渇いて来た。劉も、曹孟徳か誰かが、前路に梅林ありと云つて、軍士の渇をしたと云ふ事は知つてゐる。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
井沢香央の人々、七四かれにくこれかなしみて、もは七五しるしをもとむれども、七六ものさへ日々にすたりて、よろづにたのみなくぞ見えにけり。
それを自分で充分承知していながら、自分に対する一種の嘲笑いを示すかのような押した調子の底に、やすべからざる深い寂寞が潜むではないか。
高原の太陽 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ミルトンのたからかにぎんじたところ饑渇きかつなか々にしがたくカントの哲学てつがくおもひひそめたとて厳冬げんとう単衣たんいつひしのぎがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
すぐ文字もじはしの字で、ゆがみ文字もじはくのでございます、れですからうし角文字つのもじといふのは貴方あなたをおたのみになつたらうでございますといふので。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そもそも時代の神学思想に反抗して、別にわが魂の飢渇きかつやすに足るべき神を見出さんとする苦闘はかならずしもヨブに限らない、他にも類例が多いのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
をまねきてくすりなどあたへしがそのしるしもなく、両親ふたおやはさら也、あたりよりはせよりしものどもゝ娘のそばありてなみださしぐみつゝつかねまつのみ也。
うえするに足るものは以前も多く、その中には或いは起原の稲よりも古いものが、あるかも知れぬと思うにもかかわらず、注意せずにはおられない一つの特徴は
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
又餅をあぶりてくらふ、もちほとんど尽きて毎人唯二小片あるのみ、到底とうていうゑするにらざるを以て、衆談話の勇気いうきもなく、天をあほいただちにづ、其状恰も愁然しうぜん天にうつとふるにたり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「いや、かつえました。口中の渇は。……しかし心中の渇はどうしたら医えましょうな。三河どの、あなたは話せそうだ。ひとつ、それがしの相談あいてになってはくれまいか」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他の考え方では天に対する怨嗟えんさと不合理の感じからせられることはできない。「ああ私は私が知らない昔悪いことをしたのだ、その報いだ」こう思うと、みずからひざまずかれる心地がする。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
衛生とは人のいのちぶるがくなり、人の命ながければ、人口じんこうえてしょくらず、社会しゃかいのためにはあるべくもあらず。かつ衛生のぎょうさかんになれば、病人びょうにんあらずなるべきに、のこれをとなうるはあやまてり云々。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いろんな部分から火や血や人間のしかばねき出ていて、僕をびっくりさせたが、僕は剥ぎとられたほかの部分から何かさわやかなものや新しい芽が吹き出しそうな気がした。僕はやされそうな気がした。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
山のうるはしとふも、つちうづたかき者のみ、川ののどけしと謂ふも、水のくに過ぎざるを、ろうとして抜く可からざる我が半生の痼疾こしつは、いかつちと水とのすべき者ならん、と歯牙しがにも掛けずあなどりたりしおのれこそ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
小説よりも、詩集、歌集などが読者の渇をしてゐた。
明治文学の概観 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
富か、富は吾が狂疾をすべき特効剤なりや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「これでかつえた。うまかったぞ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)