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剃
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あた
ふりがな文庫
“
剃
(
あた
)” の例文
「いえ、けっして何も、旦那、ただ顔を
剃
(
あた
)
りにまいります途中で、河の流れが早いかどうかと、ちょっとのぞいてみましただけで。」
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
お偉がたにしてみればそれが頭痛の種でしてね、ですからお顔の
剃
(
あた
)
り方、おぐしの作り方が、それはそれは大事な役目だったわけです。
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
平次は
月代
(
さかやき
)
を
剃
(
あた
)
つて貰ひ乍ら、振り向いて見ようともしません。尤も
剃刀
(
かみそり
)
を持つて居るのは、
片襷
(
かただすき
)
を掛けた戀女房のお靜。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四丁目の角におふくろと二人で
蜆
(
しじみ
)
、
蠣
(
かき
)
を
剥
(
む
)
いています、お福ッて、ちょいとぼッとりした
蛤
(
はまぐり
)
がね、顔なんぞ
剃
(
あた
)
りに行ったのが、どうした拍子か
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
市村羽左衛門の登場——はいいが、なるほど今まで「
剃
(
あた
)
」っていたらしく、しきりに
顎
(
あご
)
のあたりを気にして拭いている。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
そして庸三が一風呂つかって、顔を
剃
(
あた
)
っていると、そこへ小夜子も入って来た。男を扱いつけている彼女にとって、それは一緒にタキシイに乗るのと何の
異
(
かわ
)
りもなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
当時
(
とうじ
)
江戸
(
えど
)
で
名高
(
なだけ
)
え
笠森
(
かさもり
)
おせんの、
襟
(
えり
)
を
剃
(
あた
)
るなァおいらより
外
(
ほか
)
にゃ、
広
(
ひろ
)
い
江戸中
(
えどじゅう
)
に
二人
(
ふたり
)
たねえんだ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
奥を覗くと、ちょうど茶店の亭主が髯を
剃
(
あた
)
っている様子、新九郎は頷いて小腰を
屈
(
かが
)
めた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう久しく
剃
(
あた
)
ってない鳩羽色の、まず
牛蒡
(
ごぼう
)
といった感じの二重顎にも、飛びだした眼にも、息ぎれの様子にも、不細工な無精たらしい姿全体にも、声音にも笑いごえにも言葉にも
妻
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
(此日には源助さんが白井様へ上つて、お
家中
(
うちぢゆう
)
の人の髪を刈つたり顔を
剃
(
あた
)
つたりするので、)大抵村の人が三人四人、源助さんの
許
(
とこ
)
で
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
ふか
)
しながら世間話をしてゐぬ事はなかつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ジャイ、ジャイと
剃
(
あた
)
りながらも、京弥の目はたえず十人の身辺へそそがれました。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼はその鼻が、誰あろう、毎週水曜と日曜とに自分に顔を
剃
(
あた
)
らせる八等官コワリョーフ氏のものであることに気がついたのである。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
死のうとした日の朝——宗吉は、
年紀上
(
としうえ
)
の
渠
(
かれ
)
の友達に、顔を
剃
(
あた
)
ってもらった。……その
夜
(
よ
)
、明神の境内で、アワヤ
咽喉
(
のんど
)
に擬したのはその剃刀であるが。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを解けるのが、——いつぞや平次が女房のお靜に
髭
(
ひげ
)
を
剃
(
あた
)
らせて居るのを見た、ガラツ八だけかもわかりません。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
京弥もまた月代を
剃
(
あた
)
りながら油断がないのです。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ちょうどその日が日曜に当っていたのである——それから頬が本物の
繻子
(
しゅす
)
のようにすべすべして
光沢
(
つや
)
の出るまで丹念に顔を
剃
(
あた
)
り
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
インキの
壺
(
つぼ
)
を、ふらここの
如
(
ごと
)
くに
振
(
ふ
)
つて、
金釦
(
きんぼたん
)
にひしやげた
角帽
(
かくばう
)
、かまひつけぬ
風
(
ふう
)
で、
薄髯
(
うすひげ
)
も
剃
(
あた
)
らず
遣放
(
やりつぱな
)
しな、
威勢
(
ゐせい
)
の
可
(
い
)
い、
大學生
(
だいがくせい
)
がづか/\と
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
剃
(
あた
)
つた後で顏を洗つて、綺麗に拭き取ると、
煙管
(
きせる
)
を伸ばして、縁側の日向へ煙草盆を引寄せます。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やおら顔を
剃
(
あた
)
りにかかった、これは併し、もうずっと前から必要に迫られていたことで、手をちょっと顎に触れながら鏡を一目見るなり、彼は
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
萬兵衞は通人らしくたしなみの良い男で、外出でも思ひ立つて、髯を
剃
(
あた
)
りに入つたところを、後ろから忍び寄つた曲者に、
逆手
(
さかて
)
に持つた剃刀で右の頸筋をやられたのでせう。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
愁眉
(
しうび
)
は
即
(
すなは
)
ち
眉
(
まゆ
)
を
作
(
つく
)
ること
町内
(
ちやうない
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
の
如
(
ごと
)
く、
細
(
ほそ
)
く
剃
(
あた
)
りつけて、
曲
(
まが
)
り
且
(
か
)
つ
竦
(
すく
)
むを
云
(
い
)
ふ。
泣粧
(
きふしやう
)
は
目
(
め
)
の
下
(
した
)
にのみ
薄
(
うす
)
く
白粉
(
おしろい
)
を
塗
(
ぬ
)
り
一刷
(
ひとはけ
)
して、ぐいと
拭
(
ぬぐ
)
ひ
置
(
お
)
く。
其
(
そ
)
の
状
(
さま
)
涙
(
なみだ
)
にうるむが
如
(
ごと
)
し。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ねえ、旦那、何なら一週に二度、いや三度でも、旦那のお顔を
無料
(
ただ
)
で
剃
(
あた
)
らせていただきたいと思っておりますんで。」
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
万兵衛は通人らしくたしなみの良い男で、外出でも思い立って、髯を
剃
(
あた
)
りに入ったところを、後ろから忍び寄った曲者に、
逆手
(
さかて
)
に持った剃刀で右の頸筋をやられたのでしょう。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女郎屋の朝の居残りに
遊女
(
おんな
)
どもの顔を
剃
(
あた
)
って、
虎口
(
ここう
)
を
遁
(
のが
)
れた床屋がある。——それから見れば、旅籠屋や、温泉宿で、上手な仕立は
重宝
(
ちょうほう
)
で、六の名は
七
(
しち
)
同然、
融通
(
ゆうずう
)
は利き過ぎる。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼にはその顔が頗る自慢で、中でも顎が一番チャーミングだと思っているらしく、よく友達の前などで、殊に髭でも
剃
(
あた
)
っているような時には、手ばなしで惚気たものだ。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「ヘエ、三日前でございました。こんな騒ぎがなければ、今日は
剃
(
あた
)
るはずでしたが——」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで、おわびに、一つ貴女の顔を
剃
(
あた
)
らして頂きやしょう。いえ、自慢じゃありませんがね、
昨夜
(
ゆうべ
)
ッから申す通り、野郎
図体
(
ずうたい
)
は不器用でも、
勝奴
(
かつやっこ
)
ぐらいにゃ
確
(
たしか
)
に使えます。
剃刀
(
かみそり
)
を持たしちゃ
確
(
たしか
)
です。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや
姐御
(
あねご
)
つて言ふんだつけ——、親分の顏を
剃
(
あた
)
るのはよいが、右から左からいゝ男つ振りを眺めてばかり居ちや、
剃
(
そ
)
り上げないうちに、後から/\
生揃
(
はえそろ
)
つて來ますぜ、へツへツへツ
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「へエ、三日前で御座いました。こんな騷ぎが無ければ、今日は
剃
(
あた
)
る筈でしたが——」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「手前、浜町まで顔を
剃
(
あた
)
りに行くのかい」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「手前、濱町まで顏を
剃
(
あた
)
りに行くのかい」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お前さん、いつ髯を
剃
(
あた
)
りなすったえ」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お前さん、何時髯を
剃
(
あた
)
りなすつたえ」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「シツ、默つて居ろ、——これは御用聞の仁義さ。尤も、穴の中で縛られて居た手前も、あまりいゝ器量ぢやないぞ、——耻はお互ひだ——それより今日は永井鐵三郎樣家督相續のお祝に招ばれて居るんだぜ、
髭
(
ひげ
)
でも
剃
(
あた
)
つて來い」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「シッ、黙っていろ、——これは御用聞の仁義さ。もっとも、穴の中で縛られていた手前も、あまりいい器量じゃないそ、——恥はお互いだ——それより今日は永井鉄三郎様家督相続のお祝いに
招
(
よ
)
ばれているんだぜ、
髭
(
ひげ
)
でも
剃
(
あた
)
って来い」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
剃
漢検準1級
部首:⼑
9画
“剃”を含む語句
剃刀
剃髪
中剃
逆剃
髪剃
下剃
剃立
剃落
毛剃
髯剃
剃痕
剃手
剃附
剃杭
香剃
髮剃
剃髮
髭剃
剃跡
毛剃九右衛門
...