くわだて)” の例文
尾瀬沼は如何いかにして保存すべきか。学生村を創設し、享楽場として自然を有意義に利用せんとするくわだては学生村設立趣意書に発表してある。
尾瀬沼の四季 (新字新仮名) / 平野長蔵(著)
おな不正ふせいくわだてるのならば、百三十六麻雀牌マアジヤンパイ背中せなかたけ木目もくめ暗記あんきするなどは、その努力感どりよくかんだけでもぼくにはむし氣持きもちがいい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
高い所から瞰下みおろすと新らしい稲の刈株が目について目障りであったとはいえ、珍しいくわだてだけに評判は高かった。
山と村 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それは池内のくわだてで松山で能を催すことになって一同打連れだって帰省したのであったが、その時宝生氏を始め一同は藤野氏の所に集って申合わせをした。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
今においてこのくわだてありて西洋人の大業をおこせし手段により和蘭陀オランダ開祖の心取こころどりりて国業を興すにおいては、永く不動の大国とならんこと相違あるまじ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
就中なかんずく重隆が執念しゅうねき復讐のくわだてにて、意中の人の銃殺さるるを、目前我身に見せしめ、当時の無念禁ずるあたわず。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はなにかなしそのくわだての思いつきに笑った。一抹いちまつのにぎやかさがどういう困苦のなかにいても、いつも笑いを見せる筒井らしいついの美をとどめるに似ていた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
天皇がきっとそんなおくわだてをなさるに違いないと、ちゃんとお感づきになっていましたので、そのときの用意に、前もっておぐしをすっかりおそり落としになって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
がしかし、しばらくたって彼が私をためしてみ、そうして出来るだけ厳粛に私に誓ったとき、私はこの船の支配権を得ようとしているくわだてのあることを知らされた。
これを思出して何か面白きくわだてもあらば、老生の生前において之を喜ぶのみならず、仮令たとい死後にても草葉の蔭より大賛成を表して知友の美挙に感泣することあるべし。
人生の楽事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
白蛇はくじゃのような奸智かんちしぼって、彼は計をめぐらした。最近に妻を寝取ねとられた一人の男がこのくわだてに加わった。シャクが自分にあてこするような話をしたと信じたからである。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
先生は、少年たちが、きっと落ちこむにちがいない悪い運命を思って、そのくわだてに反対した。だが、少年たちは、そんなことではしりごみしなかった。春木少年は、言葉をつづける。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其邊そのへん徘徊はいくわいしてつては、到底とても車外しやぐわいでゝその仕事しごとにかゝること出來できない、そこで、この爆裂彈ばくれつだんばして、該獸等かれらたを追拂おひはらひ、其間そのあひだ首尾しゆびよくやつて退けやうといふくわだてだ。
私も祖父から一喝いっかつをくらって縮みあがった覚えがある。小学校の三年生のとき、貯蓄奨励の意味でポストの恰好をした貯金箱を実費で購入して生徒にけてくれるというくわだてがあった。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
もしもかかる事実じじつを以て外国人に云々しかじかくわだてありなど認むるものもあらんには大なる間違まちがいにして、干渉かんしょうの危険のごとき、いやしくも時の事情をるものの何人なんぴとも認めざりしところなり。
彼らは今や堪えかねて鼠は虎に変じた。彼らの或者はもはや最後の手段に訴える外はないと覚悟して、幽霊のようなくわだてがふらふらと浮いて来た。短気はわるかった。ヤケがいけなかった。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
……お前のくわだてが破れたならば、捕らえられてお前は殺されるだろう。……そうしてそれが聚楽第の、没落の原因となるだろう。——太閤ほどの人物だ、聚楽からの刺客だと察するからさ。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
先生の心の底に去年から絶えずうごめいている報復のくわだてをお知らせする事をあえてするのは、あなたと先生との間を遠くさせるためではなくて、かえって先生がかくの如き残忍性を感じたほど
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
こはこの麻の環を余の手のつかまへどころとして寐返りをたすけんとのくわだてなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
この名をあてようとするくわだてが起ったように推測せられる。
こん度のくわだてがこの独逸国でどの位成功するだろうか、35
またこのくわだてを奇妙だとも思わない。
一無辜いちむこを殺して天下を取るも為さず」で、その原因事情はいずれにもせよ、大審院の判決通り真に大逆のくわだてがあったとすれば、僕ははなはだ残念に思うものである。暴力は感心ができぬ。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
右門くわだてノ儀ハ、兵学雑談、あるいハ堂上方ノ儀、その外恐入候不敬ノ雑談申散もうしちらし候ハ、其方共申立もうしたてヨリ相知レ候、大弐ハ死罪、右門儀ハ獄門まかり成、御仕おき相立候ニ付、不届ナガラうったえ人ノ事故此処ヲ以テ
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もし今日のことがまた新聞に出ますようだと、何物か我々社会の挙動を探って世に曝露ばくろしようとくわだてるものがあるのです。そうした日には私共わたくしどももその心得が無ければなりません。で、試してみたのです。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くわだて