なけ)” の例文
ハアー廿九年めえに己を藪んなけえ棄てた無慈悲な親だが、会って見ると懐かしいから、名告ってもれえてえと思ったに、まだ邪慳を通して
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あっ、糞がなけはいっちゃった」と若いのが云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
めえさん此の薬をあまの口んなけっぺし込んで……半分噛んで飲ませろよ、なに間がわりい……横着野郎め
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なに己ア本当に是まで苦労をしたゞもの、だからなけひえるがい、ひえってもいかえと引張込ふっぱりこめば、其の心があってもだ年い行かないから間を悪がるだ、屹度きっとうだ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
金松かねまつと云う奴がいて、其奴そいつこわれた碌でもねえ行李こりを持っていて、自分の物は犢鼻褌ふんどしでも古手拭でもみんな其んなけえ置くだ、或時おれが其の行李を棚からおろしてね、明けて見ると
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼処あすこの喧嘩の中人ちゅうにん這入へえって謝ってくれと頼まれ、なけえ這入り、出刃庖丁でジョキ/\遣られた事も有って、何のくれえ親父が苦労をしたか知れねえが、三年あとに親父が死ぬ時に
母「へえ、旅のもんでござえますが、道中で塩梅あんべえが悪くなりましてね、快くなえうち歩いて来ましたから、原なけえ掛って寸白が起っていとうごぜえますから、観音様のお堂をお借り申しました」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
背中へ竹の突通るほど赤坊あかんぼを藪のなけほうり込んですてるとア鬼のような心だ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
雪が降っても風が吹いても草鞋穿きになってる目も寝ずに稼いでいるに、われは何だ、銭箱のなけへいってゝ楽をしようたって、そう旨くはいかねえ、稼いでう稼いでうと金の尻っぺたをつと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早「あんたの袂のなけえたものをわしほうり込んだ事があるだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)