“きぬ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キヌ
語句割合
66.7%
14.9%
11.2%
1.6%
鬼怒0.9%
気抜0.7%
0.5%
氣拔0.5%
衣絵0.2%
布帛0.2%
彩絹0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
絹素0.2%
0.2%
0.2%
衣裳0.2%
鬼奴0.2%
𥿻0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はらはらとその壇のもとに、振袖、詰袖、揃って手をつく。階子の上より、まず水色のきぬつまもすそを引く。すぐにみのかつぎたる姿見ゆ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
袋だけはそまつなごわごわした物を入れてあるくために、きぬや布以外の多くの材料をつかったのが、今でもまだひろくもちいられている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
三人の登って行くところから十四五間も右手に、雪まみれになって倒れている者があった……汗止めの白いきぬが鮮かに三人の眼にしみた。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
聞いてくれ、聞いてくれ、静かに聞け! 俺は土屋庄三郎だ! 去年の春だ、桜の夜だ、甲府の神社やしろ参詣おまいりに行った。その時年寄りのきぬ売りがいた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若し将門が攻めて行つたのをふせいだものとしては、子飼川をわたつたり鬼怒きぬがはを渡つたりして居て、地理上合点が行かぬ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
こゑこもつてそらひゞくか、天井てんじやううへ——五階ごかいのあたりで、多人数たにんずうのわや/\ものこゑきながら、積日せきじつ辛労しんらう安心あんしんした気抜きぬけの所為せゐで、そのまゝ前後不覚ぜんごふかくつた。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白鯉しろこいうろこを以て包んだり、蜘蛛くもの糸を以て織りなした縮羅しじらきぬを引きはえたり、波なき海をふちどるおびただしい砂浜を作ったり、地上の花をしぼます荘厳そうごん偉麗いれいの色彩を天空にかがやかしたり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
坂上さかがみは、氣拔きぬけのしたさまに、大息おほいきほついて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
衣絵きぬちやんがよろこびませう……わたしも、……うれしい。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
衣絵きぬちやん、——そのさんです。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
七巻ななまき八巻やまき織りかけたる布帛きぬはふつふつと切れて風なきに鉄片と共に舞い上る。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
姉は話しながら裁縫しごとの針を止めぬのである。前に鴨脚いちょうの大きい裁物板たちものいたが据えられて、彩絹きぬ裁片たちきれや糸やはさみやが順序なく四面あたりに乱れている。女物の美しい色に、洋燈ランプの光が明かに照り渡った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
勝れたる容姿かたちといふにはあらねど、優形やさがたにて色白く、黒色くろめがちなる眼元愛らしければ、これに美しききぬ着せたらんには、天晴れ一個の、可憐嬢とも見ゆるならむが、身装みなりのあまりに見苦しきと
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
きぬ鞍帊くらおほひ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ここにわたの神みづから出で見て、「この人は、天つ日高の御子、虚空つ日高なり」といひて、すなはち内に率て入れまつりて、海驢みちの皮の疊八重一一を敷き、またきぬ疊八重一二をその上に敷きて
ふっくらとしたおもながの顔できぬのようになめらかな、しっとりと白いはだをしている、眉は薄墨で描いたような柔毛であるが、それが細いやさしそうな眼とよくうつって、温かい気品と
半之助祝言 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれがたのもしきをよろこびて、のこる田をもりつくしてかねへ、一一絹素きぬあまた買積かひつみて、京にゆく日を一二もよほしける。
銭をじゃらじゃら鳴らせ、売上高の勘定を始めるのを見ると、許生員は𣏾くいから幅ったい日覆を外し、陳列してあった品物を手繰たぐり寄せた。木綿類の畳物ときぬ類の巻物で、ぎっしり二た行李こうりに詰った。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)
夏蚕なつごから晩秋蚕まできぬを掃かなかったから、年末にはおそろしい窮乏に見舞われた。
藪落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
娼婦たはれめ衣裳きぬを纒へる哲学者鸚鵡眼をとぢもの思ひをる
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
鬼奴きぬの河原にさまよひて
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
それから「文」、「日記」の「紙」、それから「𥿻きぬ」と「しま」がある。これらのものは、少なくも私には一つの観念群を形成しうるものである。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)