ピストルの蠱惑ピストルのこわく
一時間前までおれは囚人だった。しかも大変な囚人だ。外聞だの刑期だのという問題ではなく、すんでのことに、この首が飛ぶところであったのだ。 斬首台を夢に見て魘されたことも幾度だかしれない。そんなときは思わずぞっとして、もしやあの庖丁の細い刃の痕 …