黄檗山おうばくさん)” の例文
宇治黄檗山おうばくさんの山口智海という二十六歳の学侶が西蔵チベットへ行って西蔵訳の大蔵経(一切経または蔵経、仏教の典籍一切を分類編纂したもの)
新西遊記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
どうか平易にして読み易い仏教の経文きょうもんを社会に供給したいという考えから、明治二十四年の四月から宇治の黄檗山おうばくさん一切蔵経いっさいぞうきょうを読み始めて
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
いや同苦坊というのは、かれの遠いむかしの名であり、今では、宇治黄檗山おうばくさんの一院の住持で鉄淵てつえん禅師とばれていた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宇治の黄檗山おうばくさん万福寺は純支那風な伽藍ですが、京阪電車を利用すれば、私の住居から遠い距離ではありません。
女占師の前にて (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
宇治の黄檗山おうばくさん万福寺はわづかに二百六十年の歴史しかない寺で、総本山のことですから参詣の大衆も意識してはゐるでせうが、寺院建築は堕落してはゐませんね。
宇治の黄檗山おうばくさん万福寺は隠元いんげんの創建にかかる寺だが、隠元によれば、寺院建築の要諦は荘厳ということで、信者の俗心を高めるところの形式をととのえていなければならぬと言っていたそうである。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)