駕輿丁かよちょう)” の例文
賢所かしこどころの神器を、玉体にお添えし、鳳輦みこしへと、おき立てはしたものの、それをかつぐ駕輿丁かよちょうの者はいず、ぜひなく、衛府の士が前後をにないまいらせる。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その親房は、ことし八歳の義良親王を綿帽子わたぼうしにくるんで馬のくらツボに抱いていた。——しょせん、輿こしでは道もはかどらず、駕輿丁かよちょうの者も、雪の歩行にたえられぬからだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元々、ここにあった三種の神器は偽物と知れているので、扱いもぞんざいをきわめ、駕輿丁かよちょうの小者や武士らが鳳輦ほうれんで無造作にかついで行った——と公賢自身の日記にも書かれている。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駕輿丁かよちょう雑人ぞうにんをつれていたわけでもないので、そのおん輿こしは、大膳ノ大夫重康しげやす楽人がくじんの豊原兼秋、随身の秦久武はたひさたけなどが、馴れぬ肩に、きまいらせたとのことであるから、途上の難行苦行のていも
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)