香爐こうろ)” の例文
新字:香炉
特に何者であるということが判然はっきりしないが、変な気がしてあたりをぐるぐる見廻した。なまこ色の壁と、障子と、床の間の小さな香爐こうろとが目にはいった。
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
午後は田圃たんぼ伝いに船橋ふなばしの方に出かける。門を出ると、墓地で蛇を見た。田圃の小川のいびの下では、子供がふなって居る。十丁そこら往って見かえると、吾家も香爐こうろいえ程に小さくかすんで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)