饒舌家おしやべり)” の例文
其処へ饒舌家おしやべりの叔母が小供達と共に泊りに来たのが、今朝も信吾は其叔母につかまつて出懸けかねた。吉野は昌作を伴れて出懸けた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼男あのをとこ饒舌家おしやべりで、真個ほんたうに仕方が無い奴だ。』と独語ひとりごとのやうに言つた。やがて、銀之助は何か思ひついたやうに、『何ですか、勝野君は其様そんなに御寺へ出掛けたんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
饒舌家おしやべりの小鳥も、沈黙家むつつりやの獣も、さすらひ人の蝸牛も、地下労働者のもぐらもちも、みんな魔術にでもかかつたやうに、いい気持になつて夢を見てゐるなかに、この桜の花のみは
桜の花 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)