風琴ふうきん)” の例文
風琴ふうきん楽を和してゆうなる処のみ神の教会ならざるを知れり、孝子家計の貧を補わんがために寒夜に物をひさぐ処これ神の教会ならずや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
広場の少し手前にある一軒の小店の前の車道で、髪の黒い若い手回し風琴ふうきんやが立って、何やらひどく感傷的な小唄ロマンスを鳴らしていた。
あまり暑いので、梯子はしご段の板張りに寝転んで本を読む。風琴ふうきんと魚の町、ふっとこんな尾道の物語りを書いてみたくなる。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
一合唱長として、一風琴ふうきん手として、ライプチッヒにある間のバッハは、数十年間、全く神を讃美するための音楽に没頭したと言っても決して過言ではない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
白い風呂敷包みの中から、まるでトランクのように大きい風琴ふうきんを出すと、風琴のひもを肩にかけて鳴らし出す。秋の山の風でも聞いているような、風琴の音色、皆珍らしがってみていた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)