鞦韆ブランコ)” の例文
天井からは幾つかの鞦韆ブランコがブラ下り、衝立、小机、竹馬、大小の箱、むち、それに何に使ふか見當も付かないものが舞臺一パイに竝べてあり
公園の鞦韆ブランコは寂しさうに垂れ下つて居りました。小川のボートでは蝶がゆつくりと安心して日向の夢に耽つて居りました。
辞書と新聞紙 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
彼女は鞦韆ブランコの鉄棒を握るとき右の手は内へ向けて握り、左はいつもそとへ向けた。X印になるわけである。手もとへ引きよせた鉄棒は、下からの高さが四間は充分にあった。
ヒッポドロム (新字新仮名) / 室生犀星(著)
額部に古い、微かな傷のあるのは、幼い時鞦韆ブランコから落ちた痕だと言う。頸にも、少女の頃に鳥渡した腫物を切ったあとが残っていて、ニコラス・オグリフと弟の証言は疑いもないのだ。
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あの銀色をした温味のある白毛のしとねから、すやすやと聞えやうかと耳を澄ます、五月雨さみだれには、森の青地を白く綾取あやどつて、雨が鞦韆ブランコのやうに揺れる、椽側えんがはに寝そべりながら、団扇うちはで蚊をはたき
亡びゆく森 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
あのグーン、グーンと全体に響く、快よい鞦韆ブランコの鼓動!
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)