集団かたまり)” の例文
旧字:集團
職業婦人の頭といえば、直ぐに一抱えもある毛髪の集団かたまりを思い出す。日露戦争当時流行した二百三高地どころでない。五百三から八百三位まである。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
白い月光の中に、通行人をあらためる町役人の集団かたまりが、黒かった。提燈の灯が、かどかどに揺れうごいていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何ごころなく、雨の奥をすかし見るようにのぞいたとき、そこの路地のかげから、一度に雨にれた御用提灯の集団かたまりが、押し出すように現われて来た。物々しい捕手の一隊だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
谷について一町ばかり上ると、こんもりした森の向うに、小さな家の集団かたまりが見える。阿弥陀沢の部落である。なかに、庄屋づくりの白壁の家が、一軒しかない。旅籠藤屋なのだ。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)