障碍しやうがい)” の例文
だが、事實を事實とすれば、僕等の結合は結婚によつてきよめられ固められない限り存在しない。實際上の種々の障碍しやうがいが、他の計畫にも反對する。
僕の昔から材料を採つた小説は大抵たいていこの必要に迫られて、不自然の障碍しやうがいを避ける為に舞台を昔に求めたのである。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
劇内の制度旧式が新に生れんとする劇詩に大なる障碍しやうがいをなしつゝありし事は、今更之を言ふに及ばず。美妙氏はつひに彼の制度と調和する事を得んと思はるゝにや、或は一時止むことなければとにや。
劇詩の前途如何 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それと同時に別当の姿を見て此別当が自分と軍人との間に成り立つてゐる或る関係に障碍しやうがいを加へるものであるやうに感じた。それから別当が出て行くのを見たとき、此障碍が除かれたやうに感じた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼等は尊徳の教育に寸毫すんがうの便宜をも与へなかつた。いや、寧ろ与へたものは障碍しやうがいばかりだつた位である。これは両親たる責任上、明らかに恥辱と云はなければならぬ。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)