陋室ろうしつ)” の例文
ただ道也先生がこの一点の温気おんきなき陋室ろうしつに、晏如あんじょとして筆硯をするの勇気あるは、外部より見て争うべからざる事実である。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翌朝太平の陋室ろうしつで目覚めた庄吉は、学生時代によみがへつた若々しさで、目を細くして殺風景な部屋の隅々まで見廻して一つ一つ頭に書入れてゐるやうな様子であつたが
外套と青空 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)