阿闍梨あざり)” の例文
阿闍梨あざりは、白地の錦のふちをとった円座わらふだの上に座をしめながら、式部の眼のさめるのをはばかるように、中音ちゅうおんで静かに法華経をしはじめた。
道祖問答 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
阿闍梨あざりは、身を稍後ややあとへすべらせながらひとみらして、じっとその翁を見た。翁は経机きょうづくえの向うに白の水干すいかんの袖を掻き合せて、仔細しさいらしく坐っている。
道祖問答 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)