阿野廉子あのやすこ)” の例文
「だが、いかに良い策があるにいたせ、阿野廉子あのやすこの御方とあっては、ちと手に遠い深宮の花だ。どうして、近づくことさえできるだろうか」
内々のご評議やら、またこれを父のお立場から、准后じゅんごう阿野廉子あのやすこにもおはかりになった結果か。——再度、坊門ノ清忠が信貴山の宮にえっして
悲哭ひこくする廷臣をべつとすれば、わずかに、御生涯の艱苦かんくをともにして来た准后じゅんごう阿野廉子あのやすこと、第七皇子の義良よしなが十三歳のおふたりだけであったのだ。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなときの阿野廉子あのやすこは、たとえば下世話でいう世話女房ぶりの実意を帝の看病みとりにつくして、ほかの二人の妃にも一切、手をかけさせないほどだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思うに、後醍醐が恋いこがれていらっしゃるのは、ご寵愛第一の三位ノお局(阿野廉子あのやすこ)にあろう。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思うに、ひるま、新勾当しんこうとうノ内侍と称して外出した女性たちのうちには、准后じゅんごう阿野廉子あのやすこもまじっていて、すでに彼女はさきにここを落ちていたものであったろうと想像される。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿野廉子あのやすこ
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)