長靴ちょうか)” の例文
血色のいい、若い教官はピンと身をそりかえらすような姿勢で、ピカピカの長靴ちょうかすねはゴムのようにはずんでいた。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
男爵自身も長靴ちょうかをはき、剣をって、馬にまたがり、見つかる当てもない探索にくりだそうとした。とちょうどそのとき、新たな幽霊があらわれて、男爵ははたと立ちどまった。
ほとんどまるで床屋の看板の如く、仁丹じんたんの広告の如く、われとわが足音を高くする目的のために長靴ちょうかかかとにこっそり鉛をつめて歩くたぐいの伍長あがりの山師としか思われず、私は、この事は
返事 (新字新仮名) / 太宰治(著)
平木中佐は、片足ぬいでいた長靴ちょうかを、もう一度はいた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
彼の鞣皮なめしがわのズボンは折り目やしわだらけで、あきらかに長靴ちょうかを支えているのに苦労しているようだ。そして、その長靴は、かつて頑丈だった彼の脚の両側に大ぐちをあけて欠伸あくびしているのである。