長門国ながとのくに)” の例文
旧字:長門國
寿永四年五月、長門国ながとのくに壇の浦のゆうぐれ。あたりは一面の砂地にて、所々に磯馴松そなれまつの大樹あり。正面には海をへだてて文字ヶ関遠くみゆ。浪の音、水鳥の声。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
松平大膳太夫とあるは、この大名のことで、長門国ながとのくに三十六万九千石の領主を意味する。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こういうことがよく解ったら、今の萩焼とても、ずっとよくなるでありましょう。同じ長門国ながとのくに小月おづきという窯場があることも言い添えておきましょう。雑器に見るべきものがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
長門国ながとのくに下関に舟で渡ったのが十二月六日であった。雪は降って来る。九郎右衛門の足痛は次第に重るばかりである。とうとう宇平と文吉とで勧めて、九郎右衛門を一旦いったん姫路へ帰すことにした。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
長門国ながとのくに萩の城主三十六万九千石毛利大膳大夫様でござりますかな」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)